寅さんには救えなかった正月興行 2年連続で日本映画からヒット作は生まれず

寅さんには救えなかった正月興行

 正月休みを経て、年末と年始、2週分が同時に発表された観客動員ランキング。まず、2019年最後の週末となった12月28日と29日の順位は、1位が2週連続で『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で、2日間の動員が42万8000人、興収が6億6700万円。2位が『アナと雪の女王2』で、2日間の動員が41万5000人、興収が5億3500万円。続く、2020年最初の週末となった1月4日と5日の順位は、『アナと雪の女王2』が3週ぶりに1位に返り咲いて、2日間の動員が38万2000人、興収が4億9600万円。2位は『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で、2日間の動員が31万9000人、興収が4億8900万円。1月5日までの『アナと雪の女王2』の累計興収は112.9億円、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の累計興収は52億円となっている。

 さて、以前から予想していた通りディズニーの2作品が圧倒的な強さで1、2フィニッシュを飾った2020年の正月興行。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の伸び悩みも、年が明けてから流石の強さを見せつけた『アナと雪の女王2』の粘りも想定内といったところだろう。前作『アナと雪の女王』は日本国内で255億円という、『千と千尋の神隠し』と『タイタニック』に次ぐ歴代3位の驚異的な興収を記録し、同作の世界興行においても大きな存在感を残した日本のマーケットだったが、今回の『アナと雪の女王2』の世界興行は早くも全世界でのアニメーション作品歴代1位だった前作『アナと雪の女王』の12億8100万ドル(約1384億円)を抜いて、13億2500万ドル(約1431億円)に到達。国別では、北米(4億4900万ドル)、中国(1億1800万ドル)に続いて日本(1億380万ドル)が3位。数字的にもそのすぐ後につけている4位の韓国(9620万ドル)と合わせて、同作をアニメーション作品世界歴代1位に押し上げたのは、東アジア・マーケットにおける驚異的な支持の高さであることがわかる。

 『アナと雪の女王2』と『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』、ディズニー2作品(オリジナル・トリロジーからのリアルタイマーである自分は『スター・ウォーズ』シリーズを「ディズニー作品」と呼ぶことに抵抗を覚えてきた世代だが、今作の仕上がりを受けて何の躊躇もなく「ディズニー作品」と呼ぶことができるようになった)の強さは事前に予想できたことであったが、それにしても今年の正月興行における3位以下との差はあまりにも大きい。先週末3位の『男はつらいよ お帰り 寅さん』は2週目で累計興収7億円。4位の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』は3週目で累計興収11億円。5位の『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』は3週目で累計興収7億円。6位の『映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか』は4週目で累計興収6億円。7位の『屍人荘の殺人』は4週目で累計興収8億8000万円。5週目を超えて累計興収10億円の大台にのった8位の『午前0時、キスしに来てよ』のように健闘している作品もあるものの、いずれの成績も「正月興行」ならではのブースト感はない。

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