『半沢直樹』SPは今田美桜のターニングポイントに? 得意の「強さ」でお仕事モノに挑戦

今田美桜、『半沢直樹』SPで大人の一歩

 もう一つは、根が真面目でやさしい役。『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)で、デリヘル嬢という仕事に対し後ろめたさを感じさせない明るくピュアな女性で、プロとして相手を包み込む存在であり続ける姿。別れのシーンでは泣きそうなのに明るく振る舞ったりと、風俗嬢の切なさが滲み出る演技を見事に熱演。『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)でも正義感が強い役柄で、恋愛三角関係を耐える一途な女性を切なく演じていた。

 今田が演じる役柄にどれも共通しているのは、葛藤をしながらも本当の心の強さを持った女性ということ。今田はその中でそれぞれしっかりと役柄を理解し巧みに演じ分けている。そういった意味で、男たちの恨みつらみが錯綜する『半沢直樹』のスピンオフに抜擢されたのも納得の人選だと考える。今回、予告編を見る限り、やる気のない天才型の男と、真面目でやる気のある新入女性社員が、最初はぶつかり合いながらも様々な問題に直面することで、フォローし、次第に惹かれ合い(?)名バディとなっていくと予想され、今作もまさに今田が得意とする強い女性を演じている。とは言え今田は公式コメント(参考:今田美桜、SPドラマ『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ』ヒロインに 「『倍返し』をできたら」)で「全然私には似てないなと思いながらも、瞳ちゃんのポジティブなキャラクターに元気をもらっています (笑)」と役柄について答えている。

 今までの池井戸潤作品は、会社の中心で働く中年世代の大人たちへの激励とも言える内容だったが、今田が「これから就職する方や同年代の方も勇気づけられる作品だと思います」と語っているように、若い世代にも向けているのが本作の新しさ。『半沢直樹イヤー記念』の先陣として堺雅人にバトンを繋ぐだけでなく、視聴者の世代間を繋ぐ重要なドラマだと考える。そして今回、今田が本格的な社会人という役柄も新鮮で、実年齢が22歳という大卒社会人一年生の年齢でもあり、大人の社会人をどう演じるのか? 女優として学生役から大人へのターニングポイントとなる作品としても注目したいところだ。

(文=本 手)

■放送情報
『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ』
TBS系にて、2020年1月3日(金)23:15~放送
出演:吉沢亮、今田美桜、吉沢悠、井上芳雄、北村匠海、尾上松也、緒形直人
監修:福澤克雄
チーフプロデュース:伊與田英徳
プロデュース:宮崎陽平
演出:松木彩
企画協力:池井戸潤
製作著作:TBS
(c)TBS

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