『スカーレット』西川貴教が戸田恵梨香に伝えたもの “自分だけのために”歩き始めた喜美子

『スカーレット』動き出した喜美子の創作

 賞を取ることも、世間に認められることも大切なことかもしれない。しかし、それ以上にただただ創作それ自体を楽しむということがまず先になくてはならない。それは言い換えれば、「子供の頃の自分に戻ること」なのかもしれない。富士川との時間を過ごしているときの喜美子の姿は、武志たちと同じで、全身を使った自己表現を純粋に楽しんでいた。

 さて、それからというものの、八郎が春の陶芸展で賞を受賞する一方で、喜美子自身はなかなか自分の作品を作り出せずにいた。しかし、第78話の終盤で喜美子の手はようやく動き始めた。常治(北村一輝)が亡くなって以降、八郎の前で初めて泣くことができた喜美子は、ようやく本当の意味で「自由」に創作に向き合い始めることができたのだった。「誰のためでもない、自分だけのために」とはナレーションの言葉。今週の放送では、父との別れ、そして富士川との交流が描かれた。いずれもの経験も、きっと喜美子の創作人生の中で何か重要な意味をもたらすことは間違いない。

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)〜2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林遣都、財前直見、マギー
水野美紀、溝端淳平、木本武宏、羽野晶紀、三林京子、西川貴教、松下洸平、イッセー尾形 ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記、葛西勇也
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる