松下洸平、本田大輔、北村一輝 『スカーレット』に登場する三者三様の“理想の夫”

『スカーレット』“理想の夫”は?

 旧態依然とした丸熊陶業に変革を起し、経営者として尊敬できるだけでなく、八郎の才能を見出し、その才能を生かすべく的確なアドバイスもしている敏春。照子の両親にとっても戦争で亡くした長男の存在は大きく、将来を託せる頼もしい敏春は理想の婿であり、敏春と出会えたことは照子を縛っていたものから解放されたことを意味する。敏春の実家は京都の老舗旅館で、経営にシビアな割にガツガツしたところがなく、見る目があるところも尊敬に値する。ワガママお嬢様として育った照子にはピッタリの相手だ。

 幼なじみとして、照子は喜美子や信作(林遣都)と男女の垣根を越えて何でも言い合える関係だが、照子の結婚前と結婚後の変化をいちばん知っているのは喜美子と信作で、喜美子の結婚を心から喜んでいるのも照子と信作だ。ありそうでない、幼なじみの関係を描いている点も本作の注目すべきところである。

 理想の夫と結婚して心の自由を手に入れた照子と、八郎と出会ったことで新しい世界に導かれた喜美子。信作は、自分が企画したお見合い大作戦で知り合ったよし子(辻本みず希)の積極的なアプローチを受けていたが、いつ、誰と結婚するのか。幼少期は気が弱くて引っ込み思案な性格だったが、祖母が亡くなったのをきっかけに変化を遂げた信作。仲の良い両親を見て育った彼が、誰かの理想の夫となる日はくるのか。その点にも注目して、彼らの成長を見守っていこう。

■池沢奈々見
恋愛ライター。コラムニスト。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)~2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林遣都、財前直見、マギー
水野美紀、溝端淳平、木本武宏、羽野晶紀、三林京子、西川貴教、松下洸平、イッセー尾形 ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記、葛西勇也
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

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