絶好調『アナ雪2』&完結『スター・ウォーズ』 それでも「2020年の正月映画」は危機的状況?

「2020年の正月映画」は危機的状況?

 おそらく2020年の正月興行は、11月から大ヒットが続いている『アナと雪の女王2』と今週末公開の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の両ディズニー作品が2強となって、全体としてはそれなりの数字に落ち着くことだろう。しかし、そのディズニーも盤石ではない。いち早く『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を観たが、作品の評価はひとまず別の機会に譲るとして、熱心なシリーズのファンによるスタートダッシュは間違いないとしても、今回はこれまでのトリロジーで『ジェダイの帰還』(1983年)、『シスの復讐』(2005年)にあったような3作目ブーストが効くとは思えない。また、公開直前の世間の盛り上がりに関しても、これまでとの温度の違いを肌で感じている。おそらく前作『最後のジェダイ』へのファンの失望がその理由として筆頭に挙げられるのだろうが、『スター・ウォーズ』に代わってマーベル・シネマティック・ユニバース作品(これも『スパイダーマン』以外はディズニーだが)がエンターテインメント映画の王座に君臨するようになった時代の変化による影響、そしてスピンオフ作品の乱発(特に、もはやなかったことのようにされている『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の失敗)による『スター・ウォーズ』ブランド低下の影響も、少なくないのではないか。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
12月20日(金)全国ロードショー
監督・脚本:J・J・エイブラムス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト:https://starwars.disney.co.jp/movie/skywalker.html

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