TEAM NACS 音尾琢真、前年を上回る2019年の大活躍! 『なつぞら』『ひとよ』で見せたひたむきな生き様

音尾琢真、役の幅を広げた2019年の活躍

 そんな菊介が、スピンオフの『なつぞらSP 秋の大収穫祭』の「十勝男子、愛を叫ぶ!」では、結婚し、ひとり娘がいるという変化をもって作品の世界に帰ってきた。

 妻に対するちょっとした不満がある十勝の男たちが、隠れ家的な場所に集うのだが、そこは菊介が作った「家に居場所なき男の隠れ家」であった。この秘密基地に、なつの幼なじみの雪次郎(山田裕貴)を「いいところに連れてったやるから、元気出せ」と連れ出す役回りをしているのが、柴田家の長男・照男(清原翔)なのも、『HiGH&LOW』シリーズを観てきた者として、そして山田、清原が所属している鬼邪高校ファンとして面白い。元農協組合長の田辺(宇梶剛士)や、元番長の門倉(板橋駿谷)もいた。

 菊介は、そこで集まった男たちとともに、妻たちに反旗をひるがえすべく、「十勝男自慢コンテスト」を開催しようとするのだが、結局は「十勝女房自慢コンテスト」に変わり、菊介はギターで妻と娘に向けて歌を歌う。その曲がドラマのクライマックスのひとつにもなっていた。

 本作は、タイトルの通り、『なつぞら』ファンに向けての感謝の意味もあったのだろう。柴田牧場を影で支えた菊介を中心として、影でドラマを支えたキャラクターたちが、そのキャラを生かしつつ、つながりやワチャワチャを見せたという意味でも、感謝祭=大収穫祭として楽しい作品であった。

 2019年の音尾は、『八つ墓村』のような鬼気迫る役をやりながらも、ひたむきに生きる人を演じた一年だったのではないだろうか。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■公開情報
『ひとよ』
全国公開中
出演:佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、音尾琢真、筒井真理子、浅利陽介、韓英恵、MEGUMI、大悟(千鳥)、佐々木蔵之介、田中裕子
監督:白石和彌
脚本:高橋泉
原作:桑原裕子『ひとよ』
製作幹事・配給:日活
企画・制作プロダクション:ROBOT
(c)2019「ひとよ」製作委員会
公式サイト:www.hitoyo-movie.jp

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