『俺の話は長い』などのショートドラマなぜ増加? 娯楽の多様化とネット配信で放送形態に変化

『俺の話は長い』ショートドラマの斬新さ

 では、その短い放送時間はどのような作品を生み出しているのか?

 もっとも相性がいいのは、登場人物が料理を食べたり作ったりする姿をみせるグルメドラマだろう。近年はそのバリエーションも増えており、学校の給食を題材にした『おいしい給食』(テレビ神奈川ほか)や、キャンプを題材にした『ひとりキャンプで食って寝る』、あるいは前クールに放送された『サ道』(ともにテレビ東京系)のようなグルメドラマの構造をサウナに置き換えたものも登場している。

 特徴としては主人公が何かを体験する姿を描くものが多く、印象としては情報バラエティ番組、もっと言うとYouTuberの番組を見ている時の感覚に近い。その意味でストーリー性は弱いのだが、一方で、一話20分弱ながらも一話一話が濃密な『本気のしるし』(メ〜テレ)のような恋愛ドラマも存在する。

 そもそもアニメや特撮番組は30分(CMや主題歌を抜かせば22分弱)というのがデフォルトで、その制約の中で『ウルトラマン』、『仮面ライダー』、『機動戦士ガンダム』、『新世紀エヴァンゲリオン』といった壮大なドラマが作られ続けてきたのだ。

 そう考えれば、短い話数で物語が描けるどうかというのは、作り手のやり方次第である。いずれにせよ、テレビドラマの放送形態が過渡期に入り、見直しの段階に入っていることは間違えない。その結果としてショートドラマが勃興していることは確かだろう。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■放送情報
土曜ドラマ『俺の話は長い』
日本テレビ系にて、10月12日(土)スタート 毎週土曜22:00~22:54
出演:生田斗真、安田顕、小池栄子、清原果耶、原田美枝子
脚本:金子茂樹
演出:中島悟、丸谷俊平
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
チーフプロデューサー:池田健史
主題歌:関ジャニ∞「友よ」
創作協力:オフィスクレッシェンド
制作著作:日本テレビ放送網
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/orebana/

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