初登場4位『ジェミニマン』 今や中国マネーはハリウッド・アクションの生命維持装置?

アクション映画大作には中国マネーが必要?

 本作『ジェミニマン』も、1990年代後半にもともとはディズニーで90年代アクション映画の旗手トニー・スコット監督によって開発がおこなわれていた。その後、カーティス・ハンソン監督、ジョー・カーナハン監督らに企画が渡り、巡り巡って20年越しにようやく実現したのが今回の作品ということになる。その間にトニー・スコットもカーティス・ハンソンも亡くなってしまったわけだが、作品の良くも悪くも90年代的なテイストや妙にもたつき気味な展開と合わせて、そんな背景を知ると本作を無下に失敗作と断じる気持ちにはなれないのだ。

 プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーのかつての盟友マイケル・ベイ監督の新作がNetflixオリジナル映画として世界同時配信(12月13日配信『6アンダーグラウンド』。実はこの作品も製作はスカイダンス・プロダクションなのだが)されるこの時代、劇場のスクリーンでスーパーヒーローもジェームズ・ボンドも出てこないアクション映画大作を今後も楽しみたいのならば、中国マネーに期待するしかないというのが現状だ。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『ジェミニマン』
全国公開中
監督:アン・リー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、クライブ・オーウェン、ベネディクト・ウォン
配給:東和ピクチャーズ
(c)2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:geminiman.jp

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