生田斗真がヘリクツをまくし立てる! 『俺の話は長い』で繰り広げられる会話劇の“熱戦”

『俺の話は長い』会話劇の“熱戦”

納得の配役は、オリジナル作品ならでは


 そんな満の口撃に屈しないのが、姉・綾子。この役を演じられるのは小池以外にいないのではないかと思えるほどのハマリ役で、満のヘリクツを「単なる現実逃避」として断固立ち向かう。

 制作発表会見の際、安田顕が会話劇を“試合”と表現していたが、まさにそれ。言いたいことを感情的に羅列するのではなく、相手の言い分をいったん飲み込み、的確な言葉で返す心理戦ともいえるこのバトル。とりわけ生田と小池の“熱戦”には、釘付けになること請け合いだ。

 一方、安田が扮するのは綾子の夫・光司。口の強い綾子に頭が上がらず、前夫との子・春海(清原果耶)に父親として認めてもらおうと努力するも、撃沈の日々。光司の背中から漂う哀愁が、物語に言い知れぬ空気感をもたらしている。

 その光司を忌み嫌う娘・春海を演じるのは、清原果耶。私立中学に通うも不登校気味で、実母にも反抗的な態度をとる。どこか陰のある少女役をやらせたら清原に敵う者はなく、今作でも抜群の存在感でストーリーを盛り上げる。

 そして、満を甘やかす穏やかな母・房枝役は、原田美枝子ときた。ヘリクツ生田、ハキハキ小池、タジタジ安田、ツンツン清原、フワフワ原田による五重奏。原作モノではない“オリジナル作品”ならではの配役の妙が、私たちを心地よく物語へと誘ってくれる。

そんなつもりじゃなかったのに!? なぜか心温まるホームドラマ

 ヘリクツと言い争いが絶えなければ、見ていてイライラしそうなものだが、その感覚は一切ないから不思議。それどころか、鑑賞後には“なんだかんだ、家族っていいよね”と心がほっこり温まるというのが、今作の醍醐味といえるだろう。

 岸辺家で巻き起こるのは、他人だったら許せないことばかり。でも、家族だからこそ許され、時には笑い話になる。そんな究極の家族愛を描くのが、令和のホームコメディ『俺の話は長い』なのだ。

 ドラマは30分×2本立てというアニメのような新機軸で放送され、とにかくスピーディーに進んでいく。いよいよ今夜22時。悔しいけれどクセになる、新感覚エンターテインメントショーの幕が開く。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。小学生男児2人の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■放送情報
土曜ドラマ『俺の話は長い』
日本テレビ系にて、10月12日(土)スタート 毎週土曜22:00~22:54
出演:生田斗真、安田顕、小池栄子、清原果耶、原田美枝子
脚本:金子茂樹
演出:中島悟、丸谷俊平
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
チーフプロデューサー:池田健史
主題歌:関ジャニ∞「友よ」
創作協力:オフィスクレッシェンド
制作著作:日本テレビ放送網
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/orebana/

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