『スター・ウォーズ』パルパティーン登場の意味とは? ダークサイドの歴史から考える 

『スター・ウォーズ』パルパティーン登場を考える

 パルパティーンはシスの暗黒卿だったが、表では銀河共和国の元老院議員として内政に干渉していたので、シス帝国の再建という目標は極めて安易だった。パルパティーンはダース・モールを失ったあと、ドゥークー伯爵/ダース・ティラナスを、そしてアナキン・スカイウォーカーことダース・ベイダーを弟子とした。思い起こせば『スター・ウォーズ』というのは、常にスカイウォーカーとパルパティーンという、光と闇の戦いだったはずだ。ルークが主人公の最初の3部作では、父と息子、家族の物語を描いていたが、その裏では常にパルパティーンという悪の権化の存在があった。パルパティーンは、ルークにベイダーを殺させ、ルークを新たな弟子として迎え入れようとしたが、その企みは、ベイダーのライトサイドへの帰還をもって、無残にも打ち砕かれた。

 奈落に落ちたパルパティーンは、死んだように見えたが、違ったようだ。『スカイウォーカーの夜明け』でパルパティーンはどのように登場するのか。実体のある者として登場するのか、もしくはフォースの霊体のような実体のない存在か。真実は分からないが、いずれにせよ今回の3部作も裏で暗躍しているのは、パルパティーンなのだろう。これで『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)でスノークがあっけなく死んだ理由も明白となった。さらに強力な悪であるパルパティーンが控えていたからだ。パルパティーンの復活がいつ頃から計画されていたのかは不明だが、監督のJ・J・エイブラムスいわく、「パルパティーンの再登場は不可避」だったそうだ。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(c)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

 前述の通り、『スター・ウォーズ』というのは、『新たなる希望』から『スカイウォーカーの夜明け』まで、スカイウォーカーとパルパティーンという一貫した善悪の関係性が貫かれている。であるならば、『スカイウォーカーの夜明け』の開始時点で、ライトセーバーを握るスカイウォーカーの末裔といえば、カイロ・レンだけである。これまでのお約束(スカイウォーカーとパルパティーンという対比)を考慮すると、ライトサイドに帰還したカイロ・レンが、パルパティーンと対峙することになるのだろうか。一部のファンの間では、レイがパルパティーンの末裔だとする見方もあるが、それが事実となれば、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)からずっと、スカイウォーカー(の末裔のカイロ・レン)対パルパティーン(の末裔のレイ)という構図が組み立てられていたこととなる。

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