『ボイス』が描いた“声に寄り添う”こと 唐沢寿明VSシリアルキラー・伊勢谷友介、ついに決着!

『ボイス』唐沢寿明VS伊勢谷友介、決着

 どうしても思い出されるのは、雫を捕らえる場面でひかりが放った「わたしはあなた(雫)の苦しみに寄り添える」という言葉。加えて、前述した「お前(樋口)は俺と一緒だ」という雫の発言。異常に聴力が発達したひかりも、時折怒りを抑えきれない暴力性が垣間見えた樋口も、雫とは全く別の人間であるとは言い切れない側面がある。凶悪な殺人犯ではあったものの育った環境が違っただけで、雫もやはりひとりの人間だったのだ。それでも、完全に闇に堕ちた雫を誰も救うことはできない。父親でさえも、彼を殺すことでしか、救うことができなかったのだ。

 そんな虚しさに満ちたラストだったが、ECUとして本格始動したメンバーたちは今日も被害者の声に真摯に耳を傾け、早急な事件解決に奮闘している。残虐で、苦しくて、どうしようもない事件を経験しながらも、新たな被害者、もしくは「新たな本郷雫」を救うことを決して諦めていないというのが、見ていてわかるだろう。『ボイス』というドラマが描いてきたのは、世の中にある無数の“声”をすくい上げること。ひとまずは、寝たきり状態である透の無邪気な声が復活することを祈りながら、ECUの今後の奮闘に想いを馳せたい。

■原航平
編集/ライター。1995年生まれ。映画、ドラマ、演劇などのカルチャーをむさ
ぼり食らう日々。Twitterブログ

■放送情報
『ボイス 110緊急指令室』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:唐沢寿明、真木よう子、増田貴久、木村祐一
原作:“Based on the series “Voice”, produced and distributed by Studio Dragon Corporation and CJ ENM Co., Ltd”
脚本:浜田秀哉
音楽:ゲイリー芦屋
演出:大谷太郎、久保田充
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、後藤庸介(日テレアックスオン)
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/voice/

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