『凪のお暇』中村倫也が考える、“やりたいこと”の叶え方 「初期衝動を新鮮な気持ちでキープする」

中村倫也が考える“やりたいこと”の叶え方

「ゴンの理解者はいない」


――ゴンという役を演じたことで気づいた女心とかありますか。

中村:ないっす。逆に教えてほしいです。

――では高橋一生さん演じる慎二やゴンの行動で、男性のこういうところ分かるなって思った部分はありますか。

中村:慎二もゴンも極端ですよね。学んだこと……別にないですね(笑)。

――凪ちゃんをかなり振り回してるように見えます。

中村:それはそうですね。例えば、僕もゴンにちゃんとしろよって思うことはあるんですけど、役に対して理解と弁護ができるようにならないと芝居はできないんですよ。なので、慎二に対しても凪ちゃんに対しても、否定も肯定もなくて。演じる以上、良い悪いではなく、その性格を認めて、ある程度共感できないと演じられません。だから、僕自身はゴンに対する良い・悪いの感覚は今はもう忘れちゃっているかもしれないです。だから、視聴者の方が「ああいうところあるよね」とか「あれダメだよ」と好き勝手に盛り上がってくれるのは、より楽しみにしている部分です。

――ゴンが抱えている孤独感はどう感じていますか。

中村:ドラマではゴンの抱える寂しさとかは、そこまで描かれてはいないんですよね。台本の中でふとした「……」と書かれたところとかにそのニュアンスが薄っすら見え隠れしたらいいかなという程度でやってきていました。ゴンの理解者はいないですし、友達のエリィ(水谷果穂)がゴンのことを凪や慎二に説明するシーンがありましたが、彼女もモラルがある普通の人間なので、「あんた、だからダメなんだよって」って言われ続けていますし、やっぱりゴンは心を開き切れていない。

 ゴンは、自分のちょっとした人とのズレや欠落してる部分に対して「分かってもらえないんだろうな、この感覚」と思っているから、人にも喋らないんだと思うんです。そういう思いは、芝居をしていて自分の中だけで渦巻いている瞬間はあったりします。でもそれを特段表現することもなくて、僕の中で大事なエッセンスとしてベースに持っているだけです。

――第9話で登場人物たちが「WISH」と向き合う様子が描かれましたが、中村さんは自身の「WISH」とどう向き合っていますか。

中村:小さい頃からずーっと「やりたい!」と思うことばかりで。僕が学生の時には「今の若者は将来なりたいものがないんだって」と言われる世代だったから、ちょっとギャップは感じていました。大人になって社会に出てからどう「WISH」を成立させるか悩むことは増えましたね。「WISH」を成立させるには、絶対我慢や努力が必要になるので、「WISH」を描いた当時の初期衝動を新鮮な気持ちでキープすることが、大人になると大事だなって思います。

――中村さん自身が変わりたいと思って実際に変わったことはありますか。

中村:人見知りをやめました。完全には治ってはいないと思いますけど、そうじゃないふりを貫き通していると思います。変わったのかは分からないけど、変えることに何となく成功しているのかなと。

――変わりたいと思ってからすぐ変われました?

中村:もちろん、自分の中ではギアをチェンジする時のガコガコガコっていう状態はありましたけど、180度「やめた!」って振り切ったんですよ。それを習慣にしちゃうと慣れるんですよね。でも、そこでもまた、人見知りをやめたことによる弊害や摩擦も生まれたりするんですけど。

 9話でゴンは「人って変われると思うんだよ」と話していますが、僕もどちらかというとそう考えている人間で、変われるかどうかじゃなくて、変えようとしているかどうかだと思うんですよね。でもどっかでそれをやることの労力や大変さなど色んな項目を浮かべて未然に防いじゃう。でも一回「やる!」ってなって、その状態に慣れてしまえば、きっとできるんじゃないかなと僕は考えますね。

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