『なつぞら』“強気な”マコさんがヒロインの成長を後押し 貫地谷しほり、演技と声で発揮する安定感

貫地谷しほり、『なつぞら』強固な追い風に

 現在33歳の貫地谷だが、10代の頃より俳優活動をスタートさせ、『スウィングガールズ』(2004)などの大ヒット作にキャリア初期から出演。これまでに膨大な数の作品に出演し、経験を積み重ねてきた。そして冒頭で述べたように、貫地谷が朝ドラヒロインを務めた『ちりとてちん』(2007-2008/NHK総合)は彼女の初主演作であり、また同時に、その才能を世に知らしめた出世作にして代表作でもある。同作で“女流落語家”という役どころに挑んだ事実が物語るように、彼女の発語は美しい。

 それを証明するかのように、貫地谷は映画・ドラマ・舞台だけでなく、透き通り、力のある声を武器に、これまた多くの作品でナレーターも務めている。近作だと『集団左遷!!』(2019/TBS系)での、物語を声で牽引していったことが思い起こされるだろう。彼女が『なつぞら』に与える安定感は、この“声の力”にも秘められているのだろう。

(c)2019「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会

 そして間もなく、出演した映画『アイネクライネナハトムジーク』も公開される。恋愛群像劇である同作では、数いる恋人たちのうちの一人を好演。自身の“恋心”を自覚する瞬間の貫地谷の表情に注目して欲しい。『なつぞら』とは全く違う彼女の力を知ることができるはずである。

 広瀬と貫地谷の年齢はちょうど一回り違い、キャリア的にも10年ほど開きがある。なつを導くだけでなく、“朝ドラヒロインの先輩”としての撮影現場での彼女の立ち振舞い方も気になるところだ。本作において少しばかり特異なポジションにあるマコさんを演じる貫地谷しほりは、残りの放送の強固な追い風ともなりそうだ。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず,松嶋菜々子,北乃きい,音尾琢真,中川大志,染谷将太,大原櫻子,川島明,清原翔,伊原六花,犬飼貴丈,富田望生,板橋駿谷,貫地谷しほり,草刈正雄 ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

■公開情報
『アイネクライネナハトムジーク』
9月20日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
9月13日(金)宮城県先行ロードショー
出演:三浦春馬、多部未華子、矢本悠馬、森絵梨佳、恒松祐里、萩原利久、貫地谷しほり、原田泰造
原作:伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)
主題歌:斉藤和義「小さな夜」(スピードスターレコーズ) 
監督:今泉力哉
脚本:鈴木謙一
配給:ギャガ
(c)2019「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会
公式サイト:https://gaga.ne.jp/EinekleineNachtmusik/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる