大方斐紗子が振り返る、高畑勲や宮崎駿らと過ごした日本アニメ創成期の現場

大方斐紗子が語る、日本アニメ創成期の現場

「生身の人間としては全く演技に変わりはない」

ーー当時の声のあて方と現代の声のあて方に違いはあるのでしょうか。昨年は『リメンバー・ミー』でも吹き替え声優を担当されていましたね。

大方:『リメンバー・ミー』は大変でした。歌を歌う時に歌の先生が「70歳の声じゃないですよ、90歳で歌ってください」と1日がかりで厳しくご指導いただいてやっとでした。なかなかだめだな、と思っていたら、収録後にプロデューサーの方が涙を流されて「素晴らしかった」と言ってくださって、先生のおかげだなと感じました。

ーー声優と演技のお仕事は大方さんの中でそれぞれ違いがあるんでしょうか。

大方:同じです。映像で顔が映る作品も声だけの作品も、何もかも一緒ですね。ただ自分の声だけがそこに残るというだけで、生身の人間としては全く演技に変わりはないです。

ーー『太陽の王子 ホルスの大冒険』は公開当初は興行的にはふるいませんでしたが、今まで、長きにわたって愛される作品になりました。今後、この作品がどのように残っていって欲しいですか。

大方:技術も古く、色んなことが分からない時代だったのに、これだけ素敵な作品が生まれました。演出家も共演した大先輩たちも素晴らしく、この作品に参加させていただいて本当に良かったという気持ちでいっぱいです。明るい色彩になって生まれ変わっていったり、時間の流れと共に何らかの形が変わってしまっても、何度観てもその度に新しい魅力に気づけそうで、これからもワクワクして見続けられるんじゃないかなと思います。

(取材・文・写真=大和田茉椰)

■放送情報
『太陽の王子 ホルスの大冒険 4Kレストア版』
東映チャンネルにて9月7日(土)16:00〜17:30/21日(土)16:30〜18:00
声の出演:大方斐紗子、市原悦子、平幹二朗、三島雅夫、永田靖、横森久、横内正、赤沢亜沙子、堀絢子
監督:高畑勲
脚本:深沢一夫
(c)東映

『最新技術で甦る!東映動画名作アニメーション』
東映チャンネルにて7日(土)15:30〜16:00/28日(土)17:00〜17:30
出演:大方斐紗子、小田部羊一
(c)東映
公式サイト:https://www.toeich.jp/special/anime_theater

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