『工作 黒金星と呼ばれた男』監督が魅了された、朝鮮半島南北分断の裏側にあった男2人の友情

『工作』監督が語る、制作の裏側

「詳細に見せてしまうと、緊張感がなくなってしまう」

ーーブラック・ヴィーナスは、どんな人物でどんな境遇にあるのか詳細は明かされず、多くを語らない人です。一方で、危機的な状況にある時の判断が早く、頭の切れる人だと感じました。

ユン・ジョンビン:彼の過去や家族などを詳細に見せてしまうと、彼がどういう人なのかすぐ判断できてしまうので、それによって緊張感がなくなってしまうと危惧していました。ですので、最初の脚本の段階で、必要のない部分は全部削除しました。パク・ソギョンは国に対する意識がすごく強く、軍人意識を持つ人なので、そこは表に出るようにしました。

ーー何を考えてあの判断をしたのか、などパク・ソギョンの心の内がわからないところも作品の魅力になっているように思います。

ユン・ジョンビン:ありがとうございます。今おっしゃった通り、そうすること自体が作品をより面白くすると思っていました。

ーーファン・ジョンミンの演技も素晴らしいですね。

ユン・ジョンビン:パク・ソギョンは、軍人としての強さや深い信頼を持っていて、かつ平凡にも見える人がいいなと考えており、それを全部持っている人がファン・ジョンミンでした。実在のパク・ソギョンはスパイであって事業家でもあるという、まったく異なる顔を持った人です。チェ・ハクソン(チョ・ジヌン)は、彼の上司であり軍人なので、その関係がはっきり見えるように、一方のリ・ミョンウンの前では、ある意味では偽った自分を演技しなければならないという話をしましたね。

(取材・文=若田悠希)

■公開情報
『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』
シネマート新宿ほか全国公開中
監督:ユン・ジョンビン
出演:ファン・ジョンミン、イ・ソンミン、チョ・ジヌン、チュ・ジフン
配給:ツイン
提供:ツイン、Hulu
2018年/韓国/カラー/137分
(c)2018 CJ ENM CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる