戦争を子供として経験した世代だからこそ描けるもの 『なつぞら』坂場と仲の対話を読む

『なつぞら』坂場と仲の対話を読む

 なつとの会話の場面で、坂場は自身が空襲で身に染みた経験を話していた。家族を探して焼け跡を歩き回った坂場。孤独、絶望感、大人の冷たさ、子どもの卑しさ……。どれもが強烈な経験として彼の記憶の中に残っていた。でもその一方で、“見知らぬ人の愛”を実感した出来事でもあったという。そしてそうした経験が今の自分を作っている。「だから何だと言うんですか」となつから問われた坂場は、だからこそ「仲さんたちとは違うものを作るのは、“僕らの使命”なんです」と言った。“おもちゃとしての夢”に終わらせたくないという強い思いがあるようだった。

 もちろん、仲が言ったように、高い理想を掲げる中でも、これまでのように純粋に子どもが楽しめるという要素も必要なはずだ。坂場が言うような理想もある一方で、物語それ自体もワクワクするような映画。そんな『ヘンゼルとグレーテル』が出来上がることを期待したい。

(文=國重駿平)

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮、清原翔/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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