小芝風花、ゾンビ×ラップを成立させる熱演 『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』後編はMCバトルが鍵?

小芝風花、ゾンビ×ラップを成立させる熱演

 すでにお気づきかと思うが、ゾンビに噛まれるとゾンビになるという設定は、大ヒットした海外ドラマ『ウォーキング・デッド』を踏襲しており、閉店したスーパーの外にゾンビが押し掛ける場面などはそのオマージュである。往年のヒット曲(「DA.YO.NE」)を彷彿とさせるリリックなど、随所に先行作品へのリスペクトがのぞくストーリーのカギを握るのは、やはりラップ。

 目下最大の謎はなぜゾンビがラッパーなのかという点にあり、ナチュラルボーンなラッパーとラップウイルス感染者の違いがわかれば、解決策が明らかになると思われる。とはいえ、出演者全員がラップしそうな勢いの本作でウイルス拡大を止めるには、ゾンビとのフリースタイルに勝つ以外にない。みのりの父が言う「似たような響きの言葉を使って、相手が傷つくようなことを言えばラップ」という雑すぎる認識でACEたちに太刀打ちできるかは大いに疑問だが、茨城弁のみのりがラッパーとして覚醒する姿を見てみたい気もする。

 ラップは世界的にチャートの主流を占め、日本でも才能あるMCが次々と登場している。ある意味でラップウイルスはすでに広がっている状況だが、ラップのもつ拡散力を示したのが『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』と考えることもできる。新キャラが登場する後編ではさらに白熱したMCバトルが見られるはず。はたして、みのりは拓馬や父親を救いだせるのか。無事にラップウイルスを退治した後も、登場人物たちにはぜひラップを続けてほしいと思う。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
スペシャルドラマ『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』
テレビ朝日系にて、7月12日(金)、13日(土)23:15〜放送(※一部地域を除く)
出演:小芝風花、佐藤寛太、ブラザートム
原作:『ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画』インカ帝国著(LINEマンガ)
脚本:渡部亮平
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:高崎壮太(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、森一季(MMJ)
監督:豊島圭介
制作:テレビ朝日 、MMJ
(c)テレビ朝日

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