岩田剛典、高畑充希、前田敦子、仲野太賀……“大人”の俳優だからこそハマった高校生役

『町田くんの世界』アラサー俳優がハマった理由

前田敦子

 また、今回の栄りら役でコメディエンヌの才能を遺憾なく発揮したのが前田敦子。2013年に公開された映画『もらとりあむタマ子』のタマ子を彷彿するような力の抜けた不機嫌そうな表情がキマっていた。町田くんと猪原さんに起こるさまざまな変化に対して、栄さんがつぶやく一言一言の響きが妙に心に刺さる。

 現在公開中の映画『旅のおわり世界のはじまり』では、テレビリポーターとしてウズベキスタンを訪れ、異国でのハードな撮影の中で自分の夢と向き合うきっかけを見つける女性・葉子を演じている。ベテラン・カメラマンの岩尾(加瀬亮)、ディレクター吉岡(染谷将太)、AD佐々木(柄本時生)、そして通訳兼コーディネータ・テムル(アディズ・ラジャボフ)の中で紅一点。何度も迷子になりかけるなど、無防備でいたいけな少女のような一面を見せる反面、気骨をもって信念を突き通すような強さを感じさせる場面がある。この両極端な彼女の魅力に人は心を揺さぶられるのかもしれない。

『旅のおわり世界のはじまり』(c)2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO

 『町田くんの世界』において、実生活では結婚、出産した大人の女性が女子高生を演じる姿に違和感がないわけではないが、それを超える説得力がこの作品にはあり、映像を通して伝わってくるのだ。

 高畑充希のインスタグラムの話に戻るが、「私と岩ちゃんとあっちゃんと太賀のギリギリアウトの闘いを、せひ劇場でご覧ください」とあるように、青春とは何か、愛とは何か、そして、大人の世界を知っている俳優が演じる高校生の世界を劇場で確かめることをおすすめしたい。

■池沢奈々見
恋愛ライター、コラムニスト。

■公開情報
『町田くんの世界』
全国公開中
出演:細田佳央太、関水渚、岩田剛典、高畑充希、前田敦子、仲野太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子
監督・脚本:石井裕也
脚本:片岡翔
原作:安藤ゆき『町田くんの世界』(集英社マーガレットコミックス刊)
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)安藤ゆき/集英社 (c)2019 映画「町田くんの世界」製作委員会
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/machidakun-movie/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる