福山雅治が最後に出した結論とは? 『集団左遷!!』コンプライアンスドラマとしての本質を探る

『集団左遷!!』福山雅治が出した結論とは?

 劇中でも触れられていたが、現在、メガバンクを筆頭に金融機関の人員削減と合理化が進められている。人口知能やICT技術と連携した金融サービスはすでに海外では目新しいものではないが、生き残りをかけた変化に挑む横山の姿には切実なリアリティーがあり、最後に崩れ落ちる姿は、まさに信念に殉じ理想が挫折した人間のそれだった。

 最終回では、告発をためらう片岡を叱咤する真山(香川照之)や、片岡の心中を察して「手負いの獅子ほど怖いものはない」「ぶれるなよ」と釘を刺す梅原(尾美としのり)をはじめ、久々の登場となった岩盤浴ブラザーズなど、あらためて片岡をめぐる人々がクローズアップされた。横山にも仲間はいたが、同じ銀行員である片岡と横山の命運を分けたのは、利害得失のない人間関係だったとも考えられる。

 こうして“平成最後”にして“令和最初”の下剋上は幕を閉じた。文字どおり時代を駆け抜けた主演の福山雅治をはじめ、懐かしい蒲田編の登場人物、存在が薄くなる一方の宿利(酒向芳)と、対照的に回を追うにつれてキャラが濃くなった鮫島(小手伸也)など、多くの印象深いキャラクターに感謝しつつ本稿をしめくくりたい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『集団左遷!!』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:福山雅治、香川照之、神木隆之介、中村アン、井之脇海、高橋和也、迫田孝也、増田修一朗、谷口翔太、橋本真実、市村正親、酒向芳、橋爪淳、津嘉山正種、尾美としのり、三上博史、八木亜希子、西田尚美、赤堀雅秋、パパイヤ鈴木
語り手:貫地谷しほり
三友銀行イメージガール:生田絵梨花(乃木坂46)
原作:江波戸哲夫『新装版銀行支店長』『集団左遷』(講談社文庫)
脚本:いずみ吉紘
プロデュース:飯田和孝、中前勇児
演出:平川雄一朗、田中健太
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/shudan-sasen/

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