吉高由里子が見つけた「何のために働くのか」の答え 『わたし、定時で帰ります。』撮影を終えて

吉高由里子が『わた定』で見つめた自身の働き方

「仕事も自分も大切に、人生を楽しんでほしい」


ーーお仕事ドラマではなりますが、向井さん演じる晃太郎と中丸雄一さん演じる諏訪巧との三角関係もひとつ見どころとなっていますね。今回、向井さんとの共演はいかがでした?

吉高:向井さんとは今回初めてお会いして、共通の友だちもいないですし、本当にゼロからのスタートだったんですが、本当にドシッと構えてくれて、堂々としているし、一緒にやってて安心できました。常に平常心で、正しいことしか言わないので、向井さんならなんとかしてくれそうって思うことができました。もしかしたら、ちょっと頼りすぎちゃったかもしれない(笑)。すごく物知りなので、私がわからないことがあると丁寧に説明してくれて。知的だけど、知識を振りかざすタイプではないのも、ありがたかったです。冷静そうに見えて、実は熱い部分もある、いろんな引き出しを持っていて面白い人だと思いました。

――それに対して、中丸さんはいかがでした?

吉高:本当に「いい人」です! 振ったらなんでもやってくれるし、優しい性格なんだろうなと、ちょっと変わっている部分もあるけど(笑)。中丸さんとのシーンは、なかなかカットがかからなくて、無茶振りのアドリブも多かったんです。結衣と巧のやりとりにプロデューサー陣が“萌え〜”ってなってたから! 『わた定』は台本に書いてある、書いてないを忘れちゃうくらい、エチュード感覚で演じられた部分も多くて。時生さんもなんでも返してくれましたし。そういう演技ができたのは、本当に楽しかったです。

ーー「普通」のオフィスを描いているので、取り立てて大きな事件が起きているわけではないですが、印象的なシーンが多いように思います。

吉高:そうですね。どの場面が1番なんて決められないですね。みんなそれぞれに思い出があります。江口(のりこ)さんの王丹役もハマっていましたし、シシド(・カフカ)さんの三谷役は、真面目で心の内が言えないという部分が本人にも通じるものがありましたし。同じ環境で働くというか、生きていくって、そういうことですよね。みんなが同じところに共感しなくてもいいと思ってて。いろんな人の立ち場を考えるきっかけになって、ドラマを見たことで少しでも気持ちが楽になってくれる人が増えてくれたら嬉しいなって、やりがいに繋がりますね。

ーー個人的には、「休んでも居場所はなくならない」という結衣の考え方が、このドラマの核になるように思っていて。「突っ走るか、リタイアか」みたいな2択から、「休みながら頑張ろう」という新しい選択肢を見せてくれたんじゃないかと。吉高さん自身は、働くと休むのバランスはどのように考えていますか?

吉高:私もしばらく仕事を休んでいた経験があるんです。そのときは辞めようかなぁって考えていて……。何か別のことがやりたかったとかじゃなくて、それこそ「やるか、辞めるか」の2択しかないって思い込んでたのかも。そしたら、会社の人が「いやいや、辞めて何するの? とりあえず、休んでおいで」って言ってくれたんです。そういう人と出会えた時点で、私は運がよかったなって。人との出会いや仕事との出会い、得たもの、アウトプットしたもの、全部自分の中で幸せに繋がっているんだと感じています。

ーー30代になって、何か心境は変わりましたか?

吉高:恐ろしいくらい何も変わらないですね(笑)。そろそろちゃんとした趣味を見つけないとと思うくらい。旅行が趣味と言ったら、そうなるかもしれないんですけど、休みがないとできない趣味じゃなくて、日常的にリフレッシュできるようなものを。よく取材で「リラックス方法は?」とか聞かれるんですけど、「寝る?」「飲む?」しか言えなくて(笑)。

ーー泉澤さんが、吉高さんとオンラインゲームの話で盛り上がると、お話していましたよ?

吉高:あ、そうだ! ゲームがめっちゃ好きなんですよ。それも、16歳の時から変わらない(笑)。家に帰って、ゲームして、寝る……みたいなのが、15年経った今でもやっているので、ときどき「怖〜!」ってなります。

ーー今後、女優のお仕事で挑戦してみたいことはありますか?

吉高:「ああいうジャンルをやってみたい」「こういう仕事をやりたい」と思うことはありますが、まだ言葉にできるほど具体的にはなってないですね。縁があって繋がった人たちと一緒に、いいものをたくさん残していけたらいいな、と思いながらやってます。やれることをやっていくしかないです(笑)。

ーー最後に、最終回を楽しみにしている視聴者のみなさんに、メッセージをお願いします!

吉高:まずは、今まで見てくれてありがとうございますと伝えたいです。このドラマは誰も間違っていないし、みんなが共感してくれる作品なので、結局「なんのために働くのか」ってよくわかってない人もいるかもしれないし。全員バラバラでいいと思うし、休んでもいいし、頑張って働いてもいい。でもちゃんと仕事も自分も大切にして、人生を楽しんでほしいなって思います。私自身、ラストシーンを撮影しながら、すごく気持ちが軽くなったんですよね。「そんなこともあるか」って前向きなラストになってると思うので、ぜひ最後まで楽しんでください。

(取材・文=佐藤結衣)

■放送情報
火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』
TBS系にて毎週(火)22:00~放送
原作:朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』シリーズ(新潮社刊)
出演:吉高由里子、向井理、中丸雄一、柄本時生、泉澤祐希、シシド・カフカ、内田有紀、ユースケ・サンタマリアほか
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
演出:金子文紀、竹村謙太郎
プロデューサー:新井順子、八尾香澄
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/watatei/

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