中村倫也、『アラジン』吹き替え版でイケボ放つ 声でも魅了するその実力とは

中村倫也、アラジン役を美声で魅了

 これまでに数多くの映画・ドラマに出演し、さまざまなタイプのキャラクターを演じる中、その声色の変化でも観客を魅了してきた中村。記憶に新しいところでは、朝ドラ『半分、青い。』(2018/NHK)にて、周囲の人間を自分のペースに巻き込んでしまう、とろんとした甘い声で多くの者を虜に。同作放送中に公開された『孤狼の血』(2018)では、ハードでワイルドなチンピラに扮し、ドスの利いた声で劇場を戦慄の渦に巻き込み、その振れ幅の大きさで衝撃を与えた。さらには『今日から俺は!!』(2018/日本テレビ系)で、優等生と極悪不良という二つの顔を持つ高校生を演じ、“優しさ”と“卑しさ”を巧みに演じ分ける声の表現力には非常に驚かされたものだった。中村の役者としての経験値の豊かさはもちろんだが、演劇作品へのコンスタントな参加や、ミュージカル『RENT』(2012)、『フルモンティ』(2014)への挑戦も、彼の声の表現力の高さに影響を与えているように思える。

 つい先頃には、一世を風靡した『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)の中野量太監督による新作『長いお別れ』も封切られたばかり。本作での中村は出番こそ多くはないものの、物語の大きな転換軸となる人物を演じている。一つのドラマを立ち上げるにあたっての彼の重要度は、本作でも確かめることができるだろう。

 超人気作であり、ある意味、歴史ある作品『アラジン』への挑戦は、かなりの大仕事といえるのではないだろうか。本作での好演は、今後のさらなる飛躍にも繋がりそうである。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■公開情報
『アラジン』
全国公開中
監督:ガイ・リッチー
脚本:ジョン・オーガスト、ガイ・リッチー
音楽:アラン・メンケン
出演:メナ・マスード、ナオミ・スコット、ウィル・スミス
吹き替え声優:中村倫也、木下晴香、山寺宏一
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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