『なつぞら』福地桃子が語る夕見子役への思い 「彼女が持つ強さと優しさを表現できたら」

『なつぞら』福地桃子が語る夕見子役への思い

日々成長を感じる濃密な現場

ーー北海道・十勝編が終わり、夕見子は大学へ進学。今後、現在の福地さん自身の年齢(21歳)よりどんどん上の年齢になっていく夕見子を演じると思いますが、そのあたりはいかがですか。

福地:30代より上の年齢を演じることは本作が初めての経験になるので、未知なことが沢山あります。ただ、「何かこうしよう」という自分の中のプランを決めない方がいい、というのはこの半年で学んだなと思います。現場に行ってみて、共演者の方々との空気感を感じながら、一緒に作るというのが、もの凄く大事なことなんだと学びました。年齢を重ねれば、なつや夕見子も見た目は変わっていくと思うのですが、2人でいるときの雰囲気は昔から変わらないものでありたいと思っています。

ーークランクインが昨年6月、間もなく1年が経ちますが、ご自身も夕見子に似てきたなと感じることはありますか。

福地:夕見子でいるときと、自分でいるときと混ざるときがあります(笑)。夕見子としていることが多い時間もあるので。役の気持ちでいると、自然と気持ちが前向きになるので、ポジティブなパワーをいつももらっています。

ーー夕見子を演じること、朝ドラへ出演することは、福地さんにとって大きな転機になっていると。

福地:ご一緒している先輩方から「1人の人生を長い時間をかけて演じることは本当に貴重」と撮影が始まる前に聞いていたのですが、その時に自分が思っていた以上に、濃密な時間を過ごしているなと感じます。1年前に撮ったシーンを今やっていたら、いろんな意味で全然違うお芝居になるんだろうなと思います。分かりやすく、どきどきもしていましたしその時の自分が肌で感じたこと、緊張感も含めて表現していたと思います。それぐらい得ているものが日々大きいんです。夕見子の成長とともに、自分自身の成長も重ね合わせていきたいです。「もっとこうしたい」という欲が出てくる感覚も初めてに近いものがありますし、向上心を常に持ち続けたい。あたたかい先輩方が沢山いる『なつぞら』の現場は、本当にいろんなものを学ばせていただいています。

ーー柴田家の皆さんを中心に錚々たる役者たちと共演されていますが、特に印象に残っている方はいますか。

福地:やっぱり柴田家の大黒柱・泰樹を演じる草刈さん。じいちゃんは、なつ、照男兄ちゃん(清原翔)、そして夕見子にとっても憧れの存在なんです。そんなじいちゃんへの尊敬と同時に、草刈さんへも同様の尊敬の念を抱いています。普段はとても優しくてまっすぐな表現で現場を和ませてくだいます。現場に入るとひとりひとりに、言葉をかけてくださるんです。じいちゃんと夕見子の大事なシーンの時には「自分のやりたいようにやれば大丈夫」と言っていただいたり。草刈さんが現場にいてくれるだけで安心感があるんです。『なつぞら』における泰樹さんの存在感と共通しているなと思います。

ーー夕見子のことを雪次郎(山田裕貴)は好きと公言していますが、2人の恋路がどうなるかも楽しみです。

福地:どうなるんでしょうか(笑)。雪次郎がいるシーンは、基本的に明るくてすごく好きなシーンばかりです。雪次郎は少年らしさがのこる可愛らしい部分がたくさん詰まっていますよね。演じる山田さんも、雪次郎のように、真っ直ぐで優しくて熱い男性で、本当にぴったりだと思います。現場でも周りを楽しませてくださるムードメーカー。『なつぞら』に欠かせない存在です。

ーー雪次郎を中心に、とよばあちゃん(高畑淳子)ら小畑家の面々は強力ですが、そこに夕見子も加わったらすごそうですね。

福地:それはすごそう……(笑)。もし夕見子が小畑家に入ったら、また違う一面が出てくるかもしれませんね。夕見子は常に新しいものを求めて、自由を開拓していくので、そんな姿を今後も見守っていただければうれしいです。

(取材・文=石井達也)

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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