『コンフィデンスマンJP』初登場1位 連戦連勝、フジテレビはどうして映画に強い?

フジテレビはどうして映画に強い?

 それでもこうして映画化を断行し、それで結果を出してしまうところに、現在のフジテレビ映画の好調さがうかがえる。ヒットの規模こそ違えど、思い出すのは最初の2作がケタ外れのヒットを飛ばして、90年代後半からゼロ年代前半にかけて日本映画全体の構造自体の変化を促した『踊る大捜査線』シリーズのこと。『踊る大捜査線』もテレビドラマの初回放送時の平均視聴率は18.2%と、今の基準でいえば大ヒットと言える数字だが、テレビドラマ視聴率の水準が高かった90年代においては特に際立った視聴率を記録した作品というわけではなかった。

 『踊る大捜査線』と『コンフィデンスマンJP』に共通しているのは、作中に過去の映画作品やポップカルチャーの(パクリではなく)パロディが散りばめられていて、作品全体が陽性な空気感に包まれていること。それは、かつてフジテレビとのタッグでヒットを連発していた三谷幸喜の映画作品の特徴でもある(今年は三谷幸喜の4年ぶりの新作映画『記憶にございません!』の公開も秋に控えている)。もし「フジテレビらしい映画」というイメージがあるとしたらきっとそのあたりになるのだろうが、今回の『コンフィデンスマンJP』では、久々にそんな「フジテレビらしい映画」できっちりとヒットを飛ばしたことになる。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『コンフィデンスマンJP』
全国東宝系にて公開中
出演:長澤まさみ、東出昌大、小手伸也、小日向文世、織田梨沙、瀧川英次、Michael Keida、前田敦子、佐津川愛美、岡田義徳、桜井ユキ、生瀬勝久、山口紗弥加、小池徹平、佐藤隆太、吉瀬美智子、石黒賢、竹内結子、三浦春馬、江口洋介
監督:田中亮
脚本:古沢良太
配給:東宝
(c)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会
公式サイト:http://confidenceman-movie.com

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる