『集団左遷!!』ついに明かされたスパイの正体 福山雅治たちを支える家族の絆が描かれる

『集団左遷!!』家族の絆が描かれた第3話

 廃店をめぐる銀行員の奮闘がテーマの『集団左遷!!』には、主人公を支える家族や友人の姿も丁寧に描かれている。真山が毎日定時に退社する理由は、入院中の妻・有里(西田尚美)を見舞うためだった。「無理してない?」と真山を気遣う有里。どんなときも片岡を笑顔で見守る妻・かおり(八木亜希子)は、疲れている夫に「アイス食べる?」とさりげなく声をかける。支えてくれる存在がクローズアップされることで、リストラが一人ひとりにとって重大な問題であることを再認識させられる。そんな家族の存在が第3話の鍵を握る。

 片岡から渡されたビューティーパスポートを使ってビューティーサロンを訪れたかおりだったが、来月まで予約が埋まっていると断られる。一方、滝川からスパイは真山ではないかと言われた片岡は、独自にビューティーサロンの調査をはじめた。その結果明らかになったのは、客数を大幅に超えるビューティーパスポートの過剰販売。そのことを知った真山は過剰販売をやめるよう田口夫妻に訴えていたのだ。

 しかし時すでに遅く、過剰販売を聞きつけたマスコミがビューティーサロンに押し寄せていた。もはや融資の話もこれまでかと思われたが、「でもまだ、僕はあきらめたくないんですよ」と片岡。なんというあきらめの悪さ! 片岡の底知れないポジティヴさにただただ圧倒される。そして、ここに来てついに真山も「私にひとつだけ考えがあります」と重い腰を上げる。それはビューティーサロンの再建計画を条件とする15億円の融資案だった。

 真山が“がんばろう”と思った理由。それは有里の言葉だった。「退院したら仕事をいっぱいしてもらえるように張り切って待つ」という妻の言葉に、「退院できたときにいまの仕事をなくすわけにはいかない」と返す真山。

 これまでの放送から、ガンバリズム一辺倒のようにも見える『集団左遷!!』だが、“守るべきものがあるからがんばることができる”という人間として当たり前の事実をちゃんと描いている点は見逃せない。すでにおなじみのシーンとなった河川敷を駆ける片岡の横には、新たに真山が加わった。

 ラストではついにスパイの正体が明かされた。なぜ? なんのために? コメディータッチから一転してサスペンスの様相を帯びてきた『集団左遷!!』。蒲田支店と片岡たちの行方から目が離せない。

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■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京の片すみで音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『集団左遷!!』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:福山雅治、香川照之、神木隆之介、中村アン、井之脇海、高橋和也、迫田孝也、増田修一朗、谷口翔太、橋本真実、市村正親、酒向芳、橋爪淳、津嘉山正種、尾美としのり、三上博史、八木亜希子、西田尚美、赤堀雅秋、パパイヤ鈴木
原作:江波戸哲夫『新装版銀行支店長』『集団左遷』(講談社文庫)
脚本:いずみ吉紘
プロデュース:飯田和孝、中前勇児
演出:平川雄一朗、田中健太
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/shudan-sasen/

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