『キングダム』山崎賢人は誰よりも高く飛ぶーーデビュー10周年、次なる高みへ

山崎賢人、『キングダム』で次なる高みへ

(c)原泰久/集英社 (c)2019映画「キングダム」製作委員会

 そして、こたび封切られた山崎の主演作が『キングダム』だ。彼が扮するのは、戦災孤児で奴隷の身分でありながら、“天下の大将軍”を夢見る少年・信(シン)。本作もマンガ原作であることから「またか」という声は絶えないが、原作そのものの高い人気度を鑑みれば、批判の声が上がるのも止むを得ないだろう。しかし、劇中で信が称されるように、「彼は誰よりも高く飛ぶ」。もちろん山崎が、俳優としてだ。

(c)原泰久/集英社 (c)2019映画「キングダム」製作委員会

 本作のキャストを見渡せば、若手からベテランまで精鋭ぞろい。アクションに精通している者も多い。その中で山崎は、主役として“心技体”の均整の取れた「俳優像=信」を作り上げた。劇中で彼は、誰よりも感情表現が豊かで、並々ならぬパワーとスピードでのアクションをこなし、そして不屈の精神で戦乱の世を生き延びてきた身体で屹立する。山崎はそれらすべてを身につけ、自身の存在をスクリーンに刻んでいるのである。むろん、役者なのだから、そうでなければならない。めくるめく感情のオーバーラップに、何度も転んでは立ち上がり、叫び声を上げ、誰よりも追い詰められている。そこにはかつてこれまでの山崎の悠然さはなく、毅然たる姿が躍動しているばかりだ。

(c)原泰久/集英社 (c)2019映画「キングダム」製作委員会

 物語のクライマックスで信は、「夢」という言葉をしきりに口にする。果たして、演じる山崎自身はどんな夢を見ているのか? 彼が誰よりも高く飛べることは、これまで彼を見てきた誰もが知っている。私たちは、その先が見たいのだ。ここから山崎賢人のセカンドステージがはじまる。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■公開情報
『キングダム』
全国公開中
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、佐藤信介、原泰久
出演:山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部進之介、深水元基、六平直政、高嶋政宏、要潤、橋本じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかお
配給:東宝&ソニーピクチャーズ(共同配給)
製作:映画「キングダム」製作委員会
(c)原泰久/集英社 (c)2019映画「キングダム」製作委員会
公式サイト:kingdom-the-movie.jp

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