乳がんへの不安と戦う女性の姿ーー『ラジエーションハウス』窪田正孝が見つけた“視えない病”

『ラジエーションハウス』が描いた乳がんの苦悩

 たまきを演じた山口紗弥加は2019年2月から放送されていた『絶対正義』(東海テレビ・フジテレビ系)で主演を務めたばかり。『ラジエーションハウス』では放射線技師の1人であり、いわば脇役であるが、その実力は折り紙つきで、堂々とした芝居でラジエーションハウスのメンバーを引っ張っている。山口の毅然とした態度や、眼差しの鋭さは一見とっつきにくい威圧感を感じるだろう。しかしその瞳の奥に、優しさや愛情を携えていることがはっきりとわかる。気の強い役を演じさせても、どこか親しみやすさを抱かずにいられないという役が似合うのだ。

 そんな山口が演じるたまきだからこそ、裕乃の世話を焼いている様子が微笑ましく映る。裕乃もまた、たまきを疎んじず、信頼している上司として接している。個性の強いキャラクターの多いラジエーションハウスだが、人間味のある一筋縄ではいかないキャラクターが本作の魅力にもなっているだろう。つっけんどんに見えて優しいたまき、だらしなく見えて頼り甲斐のある小野寺、仕事ができないように見えて優秀な能力を持つ唯織など、二面性を良い方向に演出しているように思う。役者に力がないとキャラクターがぶれているように見える設定も、難なくこなしているのだ。そんな彼らが織りなす物語だからこそ、今後のキャラクターの成長に興味が持つことができる。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』
フジテレビ系にて毎週(月)21:00~21:54放送
出演:窪田正孝、本田翼、広瀬アリス、浜野謙太、丸山智己、矢野聖人、山口紗弥加、遠藤憲一、鈴木伸之、浅野和之、和久井映見 ほか
原作:『ラジエーションハウス』(原作:横幕智裕、漫画:モリタイシ、GJ/集英社)
脚本:大北はるか
プロデュース:中野利幸
演出:鈴木雅之
制作著作:フジテレビジョン
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/radiationhouse/

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