『きのう何食べた?』には期待しかない! 西島秀俊×内野聖陽、共通点は“色気”と”目”

西島秀俊×内野聖陽、共通点は色気と目

 西島秀俊が「静」であるならば、内野聖陽は「動」である。彼ほどハマリ役と言われる役が多い俳優もそういない。常に役そのものになる。時代劇では大河ドラマ『風林火山』(NHK総合)の山本勘助、『JIN-仁-』(TBS系) の坂本龍馬役、大河ドラマ『真田丸』(NHK総合)の徳川家康役。どれも従来のイメージをガラッと変えつつ、これ以上ない勘助で、龍馬で、家康だった。豪快で、熱く優しく、時折ずるがしこかったり憎たらしかったり汚かったりするのも含めて誰もが愛さずにはいられない。特に勘助の、眼帯で終始片目を隠された状態の顔面、殊更その目の饒舌さと、死に様は、永久保存版で記憶に焼き付けている。そして『とんび』(TBS系)での昭和の不器用な父親役には何度も泣かされた。

『(ハル) 』DVD

 内野を語るにはワイルドな男臭さが魅力の近年とは真逆の、スマートさが眩しい1996年のドラマ、映画2本を忘れてはならない。朝ドラ『ふたりっ子』(NHK総合)と、森田芳光監督・深津絵里ヒロインの『(ハル)』である。『ふたりっ子』はヒロインの相手役である棋士を演じ、今のイメージとは違うすっきりとした眼鏡姿の好青年。『(ハル)』は「パソコン通信」で知り合った男女が互いの心を通わせ、恋に落ちるまでの過程を描いた物語。目印のフロッピーディスクが彼らの手元でカタカタと震えると共に観客の心も震える、しみじみとしたいい映画なのだが、優しく頼れるお兄ちゃんのような内野が実に魅力的なのだ。

 何本か挙げた近年の彼のハマリ役において、恋愛というものは主軸ではない。だが、私がなによりも内野聖陽という俳優に魅力を感じるのは、貫地谷しほりしかり、松下由樹しかり、ヒロインを前にした時の無遠慮に舐めるような、『風と共に去りぬ』のクラーク・ゲイブルを思わせる、非常に濃厚な眼差しだったりする。そしてその眼差しは、ときおりお茶目に、楽しそうに輝いて、時代を変えたり、歴史を動かしたりするのである。

『きのう何食べた?』(c)「きのう何食べた?」製作委員会

 料理上手な西島と、彼の作った料理を美味しそうに食べる内野。内野のイメージが髪型含めてガラリと変わりフワッとしていて予告を観るだけで新鮮だが、きっと新たなハマリ役になるのだろう。静と動、水と油、月と太陽といった感じの2人が、今までとは全く違った、テレビ東京深夜ドラマという新しいフィールドで出会い、その「目」が絡み合うのならば、期待しかあるまい。さて彼らはどんな世界を作り上げるのか。楽しみである。

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■放送情報
『きのう何食べた?』
テレビ東京系にて、毎週金曜深夜0:12〜
※テレビ大阪は翌週月曜深夜0:12〜放送
原作:よしながふみ『きのう何食べた?』(講談社『モーニング』連載中)
主演:西島秀俊、内野聖陽、マキタスポーツ、磯村勇斗、チャンカワイ、真凛、中村ゆりか、田中美佐子、矢柴俊博、高泉淳子、志賀廣太郎、山本耕史、梶芽衣子
第1話ゲスト:佐藤仁美、MEGUMI
脚本:安達奈緒子
監督:中江和仁、野尻克己、片桐健滋
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:松本拓(テレビ東京)、祖父江里奈(テレビ東京)、佐藤敦、瀬戸麻理子
OPテーマ:「帰り道」O.A.U(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)<NOFRAMES / TOY’S FACTORY>
EDテーマ:「iをyou」フレンズ<ソニー・ミュージック・レーベルズ>
制作:テレビ東京/松竹
製作著作:「きのう何食べた?」製作委員会
(c)「きのう何食べた?」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/kinounanitabeta/
公式Twitter:@tx_nanitabe

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