『美人が婚活してみたら』中村倫也と田中圭、正反対の男性像が映し出す「婚活あるある」

『美人が婚活してみたら』に見る「婚活あるある」

婚活クライシスその3.既婚友人とのマウンティング、すれ違い

 またこの物語をよりリアリティ溢れるものにしている要因として、親友の専業主婦ケイコ(臼田あさ美)とのやり取りが挙げられる。

 既婚者ケイコからのありがた迷惑なアドバイスやフィードバックに対してタカコの反発心が徐々に色濃くなっていく様や、反対に現実ばなれしがちな未婚タカコへの苛立ちや軽蔑を巧妙に織り混ぜたタカコの発言。女性同士ならでは、親友だからこその軽妙さで互いに応戦している様子も見どころである。

 未婚女性の「将来が見えない不安」はいつだってフォーカスされがちだが、それは裏を返せば「悩める選択肢(余白)を手にしている」ことでもある。対して同じように既婚女性の「人生が見通せる安心感・安定感」ばかりがフューチャーされるものの、それはともすれば「人生が決まってしまっている退屈さ・半ば絶望感」と隣り合わせと言えなくもない。

 互いに表裏一体の「裏面」を悟られぬように強がり、本当の急所を突かれまいと交わされる表面的な自虐トークの陰にそれぞれの孤独を隠し、互いへの羨望を秘めている。そして隠し切れない孤独をどこかで共有しているからこそ、互いが痛々しく見え、他人事だと放っておけなくなるのだ。

 原作の人気漫画自体が実在の登場人物のリアルなエピソードを基に作られているというのだから、そこに多くの女性からの「共感」が生まれることにも頷ける。

 本作でタカコは身を以て、「婚活」とは究極的には他の誰でもない自分自身と合わせ鏡のように向き合う作業であることを教えてくれる。その先に何が待ち受けているのかは、人それぞれに「幸せ」の形が千差万別であるように、一概には言えないところもあるだろう。だが、「恋愛」と「結婚」を全くの別物として考えて取り組むような「婚活」には向き不向きがあり、多くの場合それは難しい。また、当然のことながら自分が人生において何を優先したいかで、選ぶ相手ももちろん変わってくることは確かだ。

■Yoshika Umeda
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで2018年の劇場鑑賞映画本数は96本。Twitter:https://twitter.com/Tominokoji

■公開情報
『美人が婚活してみたら』
全国公開中
監督:大九明子
原作:とあるアラ⼦『美⼈が婚活してみたら』(連載:まんがアプリVコミ、刊⾏:⼩学館クリエイティブ)
脚本:じろう(シソンヌ)
出演:⿊川芽以、臼田あさ美、中村倫也、田中圭、村杉蝉之介、レイザーラモンRG、市川しんぺー、⽮部太郎(カラテカ)、平田敦子、成河
製作:吉本興業
制作:よしもとクリエイティブ・エージェンシー、テレビ朝日
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
配給:KATSU-do
(c)2018吉本興行
公式サイト:http://bijikon.official-movie.com/

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