初登場4位『バンブルビー』が示唆する、『トランスフォーマー』シリーズの曲がり角

『トランスフォーマー』シリーズの曲がり角

 そんなジレンマから脱するためだろう、『バンブルビー』も製作過程で企画そのものが変化していった。最終的に本作は『トランスフォーマー』シリーズの「プリクエル」でも「スピンオフ」でもなく、『トランスフォーマー』第1作よりも前の時代を描いた「新シリーズ」であり、過去のシリーズとは直接関係のない「リブート作品」として世に送り出された。本作の世界的な成功を受けて、『バンブルビー』はシリーズ化が検討されていて、それと同時に本家『トランスフォーマー』シリーズも本作『バンブルビー』の陽気で若々しいトーンとマナーを反映した上での新作(完全なリブートになるかどうかについてはまだ明らかにされていない)が予定されているという。

 80年代ハリウッドを代表する売れっ子スティーヴン・スピルバーグと、90年代ハリウッドを代表する売れっ子マイケル・ベイの大型タッグによって、00年代にスタートした『トランスフォーマー』シリーズ。2人の名前は今回の『バンブルビー』にもプロデューサーとして残っているが、製作に中国の大資本テンセント・ホールディングスが入り、シリーズ当初の「ドリームワークスとパラマウント映画の大型プロジェクト」という座組からは大きな変化を遂げている。第1作の公開から12年を経て、2020年代以降もヒットシリーズであり続ける上での観測気球的な作品、それが本作『バンブルビー』の役割なのだ。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『バンブルビー』
全国公開中
出演:ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンデボーグ・Jr.、ジョン・オーティス、ジェイソン・ドラッカー、パメラ・アドロン、ステファン・シュナイダー
監督:トラヴィス・ナイト
原案:クリスティーナ・ホドソン
脚本:クリスティーナ・ホドソン、ケリー・フレモン・クレイグ
製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、ドン・マーフィ、マイケル・ベイ、マーク・ヴァーラディアン
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、ブライアン・ゴールドナー、クリス・プリガム
配給:東和ピクチャーズ
(c)2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. (c)2018 Hasbro. All Rights Reserved.
公式サイト:bumblebeemovie.jp

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