初登場5位『スパイダーバース』が切り拓いた、マーベル&ソニー・ピクチャーズの新たな可能性

マーベル&ソニーの新たな可能性

 先週末の映画動員ランキングは、『映画ドラえもん のび太の月面探査記』が、土日2日間で動員52万人、興収6億1200万円をあげて2週連続1位に。前週比88%と高い推移で興収を積み上げている。2位は公開3週目の『翔んで埼玉』。土日2日間の動員は19万9000人、興収は2億7000万円と、こちらも前週との興収比は96%と2週連続で異例の高推移。3位の公開2週目『グリーンブック』は土日2日間の動員が14万4000人、興収が1億9000万円。なんとこちらも前週との興収比は95%。先週の週末は『運び屋』と『スパイダーマン:スパイダーバース』と注目作の公開が重なったが、絶好調のトップ3の牙城を崩すには至らなかった。

 今回取り上げるのは、土日2日間で動員9万8000人、興収1億6000万円を記録して初登場5位となった『スパイダーマン:スパイダーバース』。同作はその前週末にIMAX3D字幕版が先行公開されていたので、そこで需要を少々先食いすることとなったが、3月10日(日)までに累計で動員15万人、興収2億5000万円を突破。アメコミヒーローものの劇場版アニメーション映画としては、近年では日米合作の『ニンジャバットマン』(2018年6月日本公開)、『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017年4月日本公開)などがあったものの、それらを大きく上回る成績を記録した。特に『レゴバットマン ザ・ムービー』の製作には『スパイダーマン:スパイダーバース』と同じフィル・ロードとクリストファー・ミラーも名を連ねているので類作と言うことも可能だが、今回の『スパイダーマン:スパイダーバース』に関してはまったく新しいジャンルを切り拓いた作品ととらえた方がいいかもしれない。

 アカデミー賞最優秀長編アニメーション賞、ゴールデングローブ賞アニメーション作品賞をはじめとして、軒並み世界中のアニメーション関連の賞を独占するという絶大な評価を受けている『スパイダーマン:スパイダーバース』。2018年11月に日本公開された『ヴェノム』のエンドロールの後に披露されたティザー映像を最初に観た時には、『ヴェノム』本編とは直接関係のないアニメ作品にもかかわらず3分半もあるその冗長さも含め、『スパイダーマン:スパイダーバース』がここまで重要な作品になるとは予想できなかった(きっとそれは自分だけではないだろう)。しかし、いざフタを開けてみれば、その異次元と言うしかない圧倒的な作品のクオリティに驚かされるだけでなく、今後ソニー・ピクチャーズの看板シリーズを担ってもおかしくないほどの世界的な大ヒットに。

 実際に、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントのトニー・ビンチーケラ会長とソニー・ピクチャーズ・テレビジョンのマイク・ホプキンス会長のVarietyの最新インタビューによると、今後は大成功を収めた実写作品『ヴェノム』とアニメーション作品『スパイダーマン:スパイダーバース』の延長上に、テレビシリーズも含めて約7年に及ぶSony’s Universe of Marvel Charactersと通称で呼ばれているソニー独自のマーベル作品ユニバース化の構想が持ち上がっているという。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる