世界席巻中の『アクアマン』、興収1位スタート ヒットの秘訣は「作品の独立性」にあり!?

ヒットの秘訣は「作品の独立性」にあり!?

 2008年公開の『アイアンマン』からスタートして、現在まで20作品に及ぶ公開作がありながらも、プロデューサーのケヴィン・ファイギの見事な手腕によってある種の一貫性と連続性を保っているマーベル・シネマティック・ユニバース。その成功にあやかったDCエクステンデッド・ユニバースだが、まだ始まってたった5年、『アクアマン』を入れても6作品しかないにもかかわらず、主要キャストの離脱の噂を筆頭に、既にいろんなところで破綻が見え隠れしている。普通に考えれば、それは現在のDC作品の短所であるわけだが、『アクアマン』の世界的大ヒットはむしろそれを長所へと転換してみせた。つまり、ユニバースの他の作品を観てなくても『アクアマン』は楽しめるという感覚が観客から共有されていて、実際の仕上がりもそのような作品になっているのだ。

 以前、本コラムで『デッドプール』シリーズや『ヴェノム』の日本マーケットでの健闘について書いた時にも触れたが、今回の日本でのヒットの要因もそこにあるはずだ。数年前まで、スーパーヒーロー映画に他のスーパーヒーローが顔を出すことは作品の「売り」とされてきたが、むしろ『アクアマン』ではその独立性こそが「売り」となっている。日本のマーケットだけでなく、今や世界的にもそのような大きな時代のターニングポイントに、アメコミ映画全体が立たされているのかもしれない。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『アクアマン』
全国公開中
監督:ジェームズ・ワン
出演:ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ニコール・キッドマンほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved” “TM & (c)DC Comics”
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/aquaman/

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