『トレース~科捜研の男~』船越英一郎の“熱血演技”に隠された意図 新章で錦戸亮との関係も変化?

『トレース』船越英一郎の演技に注目

 松山監督はインタビューで「真野(錦戸)と虎丸(船越)のラブストーリーにしたかったんです」と語っている。最初はいがみ合いから始まり、気が付いたら気になり始めて恋に落ちるという関係性を男で描きたかったという。それだけに最初は、主人公の真野とは真逆の立ち位置にして、真野だけでなく視聴者をもイラつかせたいと船越と相談。「少しでも優しい表情は見せないでくださいと(船越に)お願い」「優しい顔に映った部分はすべてカット」といった演出で、1話では虎丸が“良い人”を垣間見せないことに徹底したいう。それを可能にしたのは、船越の計画的な演技のうまさに他ならない。

 そしてドラマは、2月11日放送回から"新章突入"と銘打って、真野の家族が殺された『武蔵野一家殺人事件』の真相に迫って行く話となっていく。ここにきて、組織ぐるみで真野が追い込まれて行く中で、いよいよ虎丸のベテラン刑事の本領発揮となりそうな展開を迎える。ここまで意図的にある種の“悪役”として注目を集めてきた分、その反動で、真野側に寄り添って味方になった時に、一気に虎丸の評価が変わる可能性もある。ベテランが若手を認め、相思相愛になった時がこの手のドラマが一番面白くなるポイントなのだ。

 監督と船越が意図している、真野と視聴者の感情が重ねていく演出ならば、真野が虎丸を頼りにする展開では視聴者も同様に虎丸を頼りにしたくなるはず。ここにきて今までの船越の過剰な熱血演技が活きてくる。これから船越がどんな虎丸像を表現していくのか、ドラマの内容と共に注目したい。

(文=本 手)

■放送情報
『トレース~科捜研の男~』
2019年1月7日(月)スタート 毎週月曜21:00〜21:54放送
出演:錦戸亮、新木優子、山崎樹範、岡崎紗絵、矢本悠馬、山谷花純、加藤虎ノ介、小雪、遠山俊也、篠井英介、船越英一郎
原作:古賀慶『トレース~科捜研法医研究員の追想~』(ノース・スターズ・ピクチャーズ『月刊コミックゼノン』連載)
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵
脚本:相沢友子
演出:松山博昭、相沢秀幸、三橋利行
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/trace_drama/

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