『グッドワイフ』北村匠海の絶妙なおちゃらけ具合が愛らしい 過去に縛られずに前進する朝飛の素顔

『グッドワイフ』北村匠海が愛らしい

 朝飛は、蓮見が採用争いで優位に立たないようにと、事務所のトップ・神山佳恵(賀来千香子)へのフォローは抜かりなく、神山の父でベテラン弁護士の大輔(橋爪功)が登場した際には「ベストオブ弁護士です。日本代表!」と拍手で持ち上げるなど、あざとさMAX。だが、このとき同僚が陰で「かわいいから許す」と漏らしており、その一言が “朝飛”のすべて。朝飛はイケメンかつ自分の意見を押し通すという嫌われがちな要素を持ちつつ、それでいて愛されるという驚異のコミュニケーション能力を誇るのである。

 しかし、その話術が身についた理由は、決して明るいものではなかった。第4話で朝飛は「親に放置されて育った」といい、「父や兄弟は天才だったけど、僕はそうじゃなかった。父は未だに僕のこと、認めてないですけどね」と複雑な家庭環境について告白。さらに三兄弟の真ん中だが、仲の悪い兄と弟の間に挟まれていたことで、交渉上手になったというから闇が深い。

 また、同話で描かれた法廷シーンで、朝飛はこれまでとは違う顔を見せる。初めての法廷に目は泳ぎ、声のトーンからも自信のなさがひしひしと伝わり、最終的には蓮見に交代を頼むほど。一方で、これまでのイケイケ姿とはまるで異なる朝飛を体現した北村に、驚きと称賛の声があがった。

 ちなみに、この一件により意気消沈の朝飛だったが、好意を抱く円香(水原希子)に「少しだけ見直しました。弁護を蓮見先生に任せたのは、依頼人のためですよね」と褒められれば、すぐさまニンマリ。多田(小泉孝太郎)からの「親父さんに認められるように生きるより、お前の人生だからな」という励ましには「おつかれーっす」とおちゃらけて敬礼するなど、ふだんの軽さが復活しており、その姿にホッとするとともに心が跳ねるのだった。

 最後に。元欅坂46・今泉佑唯演じる秘書を色気たっぷりに誘惑する姿にも惹きつけられたが、やはり言及せずにいられないのが朝飛と多田とのわちゃわちゃシーン。多田に対して朝飛が、ガッツリ寄りかかってみたり、指でツンツンつついてみたり、蓮見が好きなことをからかってみたり……ちょこちょこと登場する、この良き先輩後輩の空気感がたまらなく良い。すべては北村、そして小泉の表現力によるところで、癒し効果抜群のわちゃわちゃシーンは、今後もどんどん挟み込んでほしいものだ。

 蓮見と朝飛の採用争いはどうなるのか、そして朝飛が円香に振り向いてもらえる時は来るのか。過去に縛られずに前進する朝飛と、セリフを通して伝わる北村の美声にときめきながら、これからの動向に注目したい。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■放送情報
日曜劇場『グッドワイフ』
TBS系にて、2019年1月13日(日)スタート 毎週日曜21:00〜21:54
出演:常盤貴子、小泉孝太郎、水原希子、北村匠海、滝藤賢一、賀来千香子、吉田鋼太郎、唐沢寿明
脚本:篠崎絵里子
チーフプロデュース:瀬戸口克陽
プロデュース:東仲恵吾
演出:塚原あゆ子ほか
原作:based on “The Good Wife” produced in the United States by CBS Television Studios in association with Scott Free Productions and King Size Productions, and distributed by CBS Television Distribution” 
制作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/the_good_wife2019/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる