神木隆之介と有村架純の初々しい恋人模様 『フォルトゥナの瞳』の繊細な心情描写

『フォルトゥナの瞳』神木&有村の初々しい恋人模様

 慎一郎が葵にプレゼントしようとしたリングを川に向かって投げようとするシーンでは、投げなかった握りこぶしがはっきりと見えるようにしゃがむ。本来ならば、自然な動きなら後ろ姿と腕が被り、拳が見えなくなってしまう。それを神木は、腕を外向きにひらき、“投げていないで拳を握ったままでいた”ということが引き絵からも理解できるような芝居をした。

 身体を使って、鑑賞者に情報を届ける。神木の芝居は、心に打つだけではなく、身体を媒介して物語を伝えるという役者本来の働きにもコミットした演技なのだ。

 本作には、泣ける恋愛物語という側面だけではなく、自分の選択に責任を持つという重要なテーマが隠されていた。何気なく送っている普段の生活を見直し、大切な人に改めて気持ちを伝えたくなるような作品であった。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■公開情報
『フォルトゥナの瞳』
全国公開中
出演:神木隆之介、有村架純、志尊淳、DAIGO、松井愛莉、北村有起哉、斉藤由貴、時任三郎
監督:三木孝浩
原作:百田尚樹『フォルトゥナの瞳』(新潮文庫刊)
脚本:坂口理子
配給:東宝
(c)2019映画「フォルトゥナの瞳」製作委員会
公式サイト:fortuna-movie.com

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