『十二人の死にたい子どもたち』好スタート ヒットの秘訣はタイトルのインパクトにあり!?

ヒットの秘訣はタイトルのインパクトにあり?

 配給のワーナーが早くも「興収20億円も視野に」という景気のいいコメントを出している『十二人の死にたい子どもたち』。その念頭には若年層向けの実写サスペンス映画として昨年秋に公開された東宝配給の『スマホを落としただけなのに』(最終興収19.4億円)があるのかもしれないが、『スマホを落としただけなのに』は口コミとソーシャルメディアによってその評判が広がり、公開2週目以降から驚異的に粘りを見せた作品。今のところ『十二人の死にたい子どもたち』にそこまでの兆候は見られないが、一つ興味深い共通点がある。

 『スマホを落としただけなのに』、『十二人の死にたい子どもたち』、ともに原作小説があって、タイトルもその小説のタイトルがそのままつけられただけなのだが、いずれもタイトルが作品の設定や内容を明確に表しているということ。このあたり、人の目を引くタイトルをつけるセンスが、映画業界よりも出版業界の方が優れていることの証左なのかもしれない(インパクトという点では『君の膵臓をたべたい』のような成功例も記憶に新しい)。今後はそれらの成功例を意識して、実写日本映画において原作のあるなしに関わらず、感覚に訴えるタイトルではなく、より説明的かつインパクト重視のタイトルのつけられた作品が増えていきそうな予感がする。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『十二人の死にたい子どもたち』
全国公開中
出演:杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈、吉川愛、萩原利久、渕野右登、坂東龍汰、古川琴音、竹内愛紗
監督:堤幸彦
原作:冲方丁『十二人の死にたい子どもたち』(文春文庫刊)
脚本:倉持裕
音楽:小林うてな
主題歌:The Royal Concept「On Our Way」(ユニバーサル ミュージック)
企画・製作:日本テレビ放送網
制作プロダクション:オフィスクレッシェンド
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会
公式サイト:http://shinitai12.jp
公式Twitter:@shinitai12movie
公式Instagram:@shinitai12movie

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