“親友”の勝地涼、“足を支える”ピエール瀧……『いだてん』中村勘九郎を取り巻く個性豊かな人々

 最後に、シャーロット・ケイト・フォックスが演じる大森安仁子について紹介する。安仁子は、後のオリンピック日本選手団監督である大森兵蔵(竹野内豊)の妻である。英語混じりの兵蔵の言葉を翻訳する安仁子は、兵蔵に「いちいち訳さなくていいよ」と諭されると、思わず「Damm shit!(クソッタレ!)」と返してしまう。第4話での登場シーンは少ないが、夫に「クソッタレ!」と返す姿は印象に残る。安仁子が嘉納にアメリカ式の挨拶を交わしたとき、永井や可児(古舘寛治)はたじろぐ様子を見せている。女性の登場人物は他にもいるが、永井や可児をたじろがせる強気なキャラクターは唯一無二の存在だ。今後、強気な安仁子は何か騒動を巻き起こすのではないだろうか。

 今回ピックアップした登場人物だけでなく、四三と関わりをもつ人物は明治から昭和まで、時代を超えてたくさん登場する。そんな彼らのオリンピックに対する思いが交差していく演出が魅力的だ。豊かな出演者で溢れる『いだてん』。今後いったい誰がどのような出来事を巻き起こすのか楽しみである。

※古舘寛治の「舘」の字は、正しくは、外字の「(※舎官)」

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45 
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45 
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/
写真提供=NHK

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