『3年A組』上白石萌歌演じる景山澪奈とは何者か? 放送重ねるごとに深まる謎を探る

『3年A組』上白石萌歌演じる景山澪奈とは?

 一方、宇佐美香帆(川栄李奈)は、景山と茅野が仲良くなる以前からの友達。学校の帰り、宇佐美はてんとう虫のマークが入ったハンカチを景山にプレゼントしたあと2ショットの自撮りをし「この画像アップするね。またフォロワー増える」と言う。それに対し景山は「なんで私と一緒にいるの?」と質問。宇佐美は「そりゃ自慢の友達だし。やっぱ全国レベルって偉大だわ」と言うと、フォロワー数を稼ぐために利用されていると思ったのか、ハンカチを返し景山は一人去っていく。この場面でも、友人が自分の“中身”を見てくれないことへの景山の孤独が伝わってくる。

 そしてある時、宇佐美が一緒に帰ろうと誘うと、「先約があるから」と茅野と一緒に腕を組んで帰っていく。クラスでは影で「奴隷」と呼ばれる茅野と一緒に帰ることは自分への当て付けかと思い、宇佐美は景山を憎むようになる。

 SNSで執拗に悪口を書き込む、景山の水着を切り裂く、自宅の窓ガラスを割る……など散々嫌がらせを行い、ドーピング疑惑の元ネタである、捏造された景山の動画をネットに上げたのも宇佐美だ(本人は制作には関わっていないが)。

 嫌がらせに気づいた景山は「もうやめて」と懇願するも、宇佐美は「なら死んでよ。あんたが死んだらやめてあげる」と抑えきれない感情が爆発。それが自殺の原因だと考える宇佐美だが、柊は「景山はお前を恨んでいなかった。むしろ自分のせいだと言ってた。何も言わず香帆を拒んで、ちゃんと伝えていれば良かった。友達が欲しかったって。私は香帆とは本当の意味で友達になりたかったって」と言い聞かせる。そして茅野は景山からもらったてんとう虫のマークが入ったハンカチについて「私の大切な友達が好きなキャラクターなんだ」と言っていたことを告げ、「澪奈はずっと友達だと思っていたんだよ、あなたのこと」と言い、本心を知った宇佐美は泣き崩れる。

 景山の友人であった宇佐美も茅野も、景山の本心に気づけなかったのだ。『3年A組』は、たとえ友人であっても、その人が何を考えているのか全てを分かることはできないと説くかのようだ。だが、例え全てに気づけなくても、景山は2人を決して憎んでいなかったことが同時に分かる。

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