初登場6位『クリード 炎の宿敵』 スタローンの「引きの美学」は功を奏したか?

スタローンの「引きの美学」は功を奏したか?

 クーグラーの辞退を受けて、当初はスタローンが監督する予定で企画が進行していた『クリード 炎の宿敵』だが、クランクイン直前に本作が長編2作目(クーグラーにとっての『クリード チャンプを継ぐ男』も長編2作目だった)となる若手監督スティーブン・ケイプル・Jr.に託すことに。また、前作から続いて劇中ではクリード役マイケル・B・ジョーダンとのダブル主演といっていいほどの活躍をしているスタローンだが、今作ではプロモーション活動でも一歩引くことに。そこには「『クリード』シリーズはマイケル・B・ジョーダンのもの」という配慮があったという。

 主演作『ブラックパンサー』の記録的ヒットを経て今や絶対的なトップスターとなったマイケル・B・ジョーダンだが、『ブラックパンサー』が世界でほとんど唯一当たらなかった国である日本ではまだそこまでの認知度はない。一方で、日本でのスタローンの認知度はいまだに圧倒的なものがある。さらに、今回の『クリード 炎の宿敵』は前作以上に『ロッキー』シリーズとのリンクが強い作品。スタローンの『クリード』シリーズにおける「若手の引き立て役に徹する」という姿勢は尊敬に値するものではあるが、きっと日本の配給会社は「日本だけは事情が違うのでもっと積極的に動いてもらえれば」と思っていたに違いない。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■公開情報
『クリード 炎の宿敵』
全国公開中
出演:シルヴェスター・スタローン、マイケル・B・ジョーダン
監督:スティーブン・ケイプル・Jr.
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
公式サイト:www.creedmovie.jp

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