あらゆる対比が不思議なバランスで成立 高畑充希『メゾン・ド・ポリス』はユニークなドラマに?

『メゾン・ド・ポリス』はユニークなドラマ?

 死刑囚の息子の無実を信じる無垢な母親かと思わせて、息子の犯した罪を知りながらもその罪を打ち消すために別の犯人を仕立て上げようと、息子の犯行を模倣する“モンスターペアレント”の極致。そういったテーマであったり、シェアハウスという土台となる設定が現代的なものであるのに対し、おじさんたちから醸し出されるのは、良い意味で前近代的な空気感。この第1話を見た限りでは、ありとあらゆる対比が不思議なバランスで成り立ち、かなりユニークなドラマになっていくような予感が漂う。

 そういった点では、本作のチーフ演出家であり第1話の演出を担当した佐藤祐市の技量が遺憾なく発揮される作品となるに違いない。とくに脚本は昨秋の『累-かさね-』に続くタッグとなる黒岩勉で、そこに西島秀俊が加わることで人気作『ストロベリーナイト』と同じ布陣ができあがる(だから居酒屋のシーンで『ストロベリーナイト』が登場したのだろう)。扱う事件こそ単発であるが、最近のこのタイプの作品の潮流通り「ひよりが刑事になった理由」と「夏目が刑事を辞めた理由」がドラマの根幹となることだろう。ここにもまた、対比構造ができあがっているわけだ。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『メゾン・ド・ポリス』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:高畑充希、西島秀俊、西田尚美、竜星涼、木村了、戸田昌宏、小日向文世、野口五郎、角野卓造、近藤正臣
原作:加藤実秋『メゾン・ド・ポリス』シリーズ(角川文庫刊)
脚本:黒岩勉
演出:佐藤祐市、城宝秀則
プロデューサー:橋本芙美、芳川茜
製作:共同テレビ、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/maison_de_police/

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