2019年正月興行2強は『ボヘミアン・ラプソディ』と『シュガー・ラッシュ2』 一方では異変も?

2019年正月興行2強は?

 2019年に入ってから発表された初の動員ランキング。集計期間は2018年最後の週末12月29日と30日の2日間だが、例年通りこの段階で正月興行の勝敗はほぼ決着がつくことになる。今年の正月興行は『シュガー・ラッシュ:オンライン』と『ボヘミアン・ラプソディ』の2強体制に。『シュガー・ラッシュ:オンライン』は土日2日間で動員28万7000人、興収3億6400万円で2週連続で1位。公開8週目の『ボヘミアン・ラプソディ』の同期間の成績は動員24万5000人、興収3億6400万円。子供客が比較的少ない『ボヘミアン・ラプソディ』は動員では負けているものの、興収では(10万の位を切り捨てたら)完全に横並び。年が明けてからも両作品は高い水準でデッドヒートを繰り広げていて、3位の『ドラゴンボール超 ブロリー』との間には大きな差が開いている。

 初登場作品で最高位につけたのは、前田哲監督、大泉洋主演の『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』。初登場7位と出足こそ鈍かったものの、年が明けてからはトップ5に食い込む粘りを見せていて、息の長い興行が期待される。もっとも、ランキングを見渡してみればおわかりのように、今年のメジャー配給の正月映画ではこの作品がほとんど唯一の「大人向け」の実写日本映画。松竹が昨年の『8年越しの花嫁 奇跡の実話』に近い路線のヒューマンドラマである『こんな夜更けにバナナかよ』で直球勝負をしたのに対し、昨年はその『8年越しの花嫁』と好勝負を繰り広げた『DESTINY 鎌倉ものがたり』を配給していた東宝が今年は超変化球作品の『来る』を当ててきたわけが、以前に当コラムでも懸念した通り、『来る』の息が正月まで続くことはなかった。

 映画がまだ国民の娯楽の中心にあった時代、正月に映画館で映画を観るというのは日本人にとって習慣化されたハレの行為の一つだった。その象徴とも言うべき作品が、1969年から1995年まで毎年必ず正月映画として公開されていた松竹の『男はつらいよ』シリーズ(1985年までは8月と12月、毎年2作品公開)だ。「正月は映画館で実写の日本映画」という習慣は近年まで少なからず残っていて、2008年の正月映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』や2014年の正月映画『永遠の0』の大ヒットは、そんな時代の記憶があるシニア層の観客がいなければなし得なかっただろう。その両作はいずれも東宝作品だったわけだが、2019年の東宝の3本の正月映画、『来る』『ニセコイ』『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』からは、そうした近過去の成功作の痕跡さえ見当たらない。

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