深田恭子、こじらせ女子役はなぜハマる? 唯一無二のコメディエンヌとしての地位を考察

深田恭子、こじらせ女子役はなぜハマる?

 ボンネットをかぶり、フリルたっぷりのミニドレスという完璧なロリータファッションで農道を優雅に歩く桃子は、圧倒的な存在感で、それまでアイドル女優と認識されていた深田恭子のイメージをガラリと変えた鮮烈な登場だった。

 ふわふわした見た目とは裏腹に毒を吐き、周囲の視線などお構いなしに堂々とわが道を突き進む桃子。土屋アンナ演じる心優しいヤンキー娘・イチゴとの対比によって双方の魅力が際立ち映画は大ヒット、深田は毎日映画コンクール等で主演女優賞を受賞した。

 その後も『富豪刑事』シリーズ(テレビ朝日系)で桁外れの超お嬢さま刑事、2016年放送の『ダメな私に恋してください』では恋愛下手なアラサー女子、とコミカルな役柄を演じるたびに深田恭子のハマり役と評されてきた。特に『ダメな私に恋してください』ではお金がないのに年下男子に貢いでしまい、ディーン・フジオカ演じる元上司の黒沢に罵倒されるダメキャラが実にマッチしていた。

 こじらせ女子と言えるこのタイプの役が深田にしっくりくるのは、ともするとあざとすぎて痛々しくなりそうなオトナかわいいファッションが難なく似合う容姿とおっとりした口調に加え、長年第一線で活躍している人気女優なのに気の強さや野心が感じられず、その一方で、中心には真っ直ぐに芯が通っていて泰然としているように見えるからではないだろうか。

 深田自身が持つそのブレなさが回を追うごとに現れ、頼りなかったヒロインがたくましく成長していく様にリアリティが生まれる。一挙手一投足がかわいく、そしてかわいさのリミッターが振り切り、かっこいいとすら思える。そこに同性が共感を覚え、彼女のことが「好き」という気持ちが芽生える。

 現実と非現実の狭間のキャラクターを彼女にしかできない方法で演じきり、もはや唯一無二のコメディエンヌの地位を確立した深田恭子。2019年も突き抜けたかわいさで大いに視聴者を楽しませてくれるだろう。

■古閑万希子
ライター。映画評や映画ノベライズを手掛ける。

■放送情報
火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』
TBS系にて、2019年1月15日(火)スタート 毎週火曜22:00〜23:07放送
出演:深田恭子、永山絢斗、横浜流星、中村倫也、高橋洋、浜中文一、吉川愛、永田崇人、堀家一希、櫻井圭佑、若林拓也、加藤小夏、黒崎レイナ、石丸謙二郎、鶴見辰吾、安達祐実、皆川猿時、生瀬勝久、檀ふみ原作:持田あき『初めて恋をした日に読む話』(集英社マーガレットコミックス刊/『クッキー』連載中)
脚本:吉澤智子
プロデューサー:有賀聡(ケイファクトリー)
演出:福田亮介ほか
製作:ケイファクトリー、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hajikoi_tbs/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる