初登場1位は『ドラゴンボール超 ブロリー』 作品至上主義を貫く東映の手法とは?

作品至上主義を貫く東映の手法とは?

 先週末の映画動員ランキングは、『ドラゴンボール超 ブロリー』が土日2日間で動員63万9000人、興収8億1300万円をあげて初登場1位を獲得。初日から3日間では動員82万4000人、興収10億5100万円という大ヒットスタートを切っている。土日2日間の成績での比較では、2015年4月に公開された前作『ドラゴンボールZ 復活の「F」』の興収比85%の成績となっているが、土曜日が初日だった前作と違って今作の初日は金曜日だったのでほぼ同程度の勢いと見ていいだろう。東宝、松竹と違って「初日金曜日」への移行に慎重だった東映(ラインナップにおける子ども向け作品の比率も影響しているのだろう)だが、来年以降の公開作として発表されている作品は、初日が祝日と重なる作品を除いてすべて初日が金曜日となっている。2018年を通して、ようやく日本映画界においても諸外国と同じ「初日金曜日」が定着したことになる。

 1996年公開の『ドラゴンボール 最強への道』を最後に、長らく劇場版ではシリーズを休止していた『ドラゴンボール』を東映が17年ぶりに復活させたのが、2013年3月公開の『ドラゴンボールZ 神と神』だった。以来、2015年4月公開の『ドラゴンボールZ 復活の「F」』を経て、今作『ドラゴンボール超 ブロリー』が「リブート」後の作品としては3作目。かつての劇場版シリーズは1年に2作品、公開形態は他作品との併映だったので、現在のシリーズとは座組自体がまったく異なるわけだが、興味深いのは2013年以降の作品は前作との公開インターバルも公開時期も作品によってまちまちであることだ。ちなみに今作『ドラゴンボール超 ブロリー』は前作から3年8カ月ぶりの作品。公開スケジュールがイレギュラーなのは、東映のもう一つの看板シリーズ『ONE PIECE』も同様。毎年必ず『ドラえもん』『ポケットモンスター』『名探偵コナン』『クレヨンしんちゃん』『妖怪ウォッチ』といったシリーズ作品を律儀にまったく同じ時期に公開している東宝とは大きく異なる。

 これは、ルーティン化によってシリーズが疲弊していく(逆に言えば、ほとんどのシリーズでそうはなっていない現在の東宝がすごいとも言える)ことを回避して、作品至上主義を守るためでもあるのだろう。実際に2013年の『ドラゴンボールZ 神と神』以降は企画の段階から原作者である鳥山明が深く関与し、前作『ドラゴンボールZ 復活の「F」』と今作『ドラゴンボール超 ブロリー』では自身で脚本も手がけている。

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