高杉真宙、粗暴なアウトロー役でさらなる飛躍 『ギャングース』は2018年の集大成に

高杉真宙、粗暴なアウトロー役で飛躍

 少女マンガを原作とした『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』、『虹色デイズ』では、仲間たちと青春を謳歌する男子高生を好演。長く続いたテレビCM・P&G「ファブリーズ」で、爽やか男子像を世に広く浸透させていた彼らしく、やはりこの手のキャラクターには抜群にハマる。高杉の知的で品のある佇まいと愛嬌ある笑顔は、これらの系譜に連なる作品に一人は必要とされるであろうし、彼はそのポジションを昨年に続き担ったのだ。

(c)2018「虹色デイズ」製作委員会 (c)水野美波/集英社

 単独主演作『世界でいちばん長い写真』では、特殊なパノラマカメラとの出会いによって、それまでの消極的な人生から解き放たれていく少年を演じた。派手な喧嘩も恋愛もない本作での等身大の高校生姿は、高杉の最も得意とするところなのではないだろうか。自然体で素朴な姿が実に好もしいものであった。

 そして、小説から実写映画やマンガなど、メディアミックス展開が成される『君の膵臓をたべたい』の劇場アニメでは、主人公の少年に声優として息吹を与えた。これまた高校生役と、高杉の得意とする役どころに思えるが、全身を使って役を表現することが本業の彼にとって、声だけで役を演じることは、やはり難しかったのではないだろうか。しかし実際にその声を聞くと、大切な人との出会いで変わりゆく心情や、そこで沸き起こる喜怒哀楽の表現が、非常に繊細で豊かなものであることに気がつくはずだ。この作品は、“声だけで役を演じる”、彼の表現力の高さの証明ともなっている。

(c)2018「ギャングース」FILM PARTNERS (c)肥谷圭介・鈴木大介/講談社

 こう振り返ってみると高杉の多才さが際立つが、その中でも『ギャングース』のサイケという人物は最も多面的であり、そういった意味で、集大成と言えるのではないだろうか。現在は、出演する舞台「新感線☆RS『メタルマクベス』disc3」の上演真っ只中。大舞台を経ての彼のさらなる進化が楽しみなところである。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■公開情報
『ギャングース』
全国公開中
出演:高杉真宙、加藤諒、渡辺大知(黒猫チェルシー)、林遣都、伊東蒼、山本舞香、芦那すみれ、勝矢、般若、菅原健、斉藤祥太、斉藤慶太、金子ノブアキ、篠田麻里子、MIYAVI監督:入江悠
脚本:入江悠、和田清人
原作:肥谷圭介・鈴木大介『ギャングース』(講談社『モーニング』KC所載)
製作・配給:キノフィルムズ/木下グループ
制作プロダクション:アミューズ+パイプライン
(c)2018「ギャングース」FILM PARTNERS (c)肥谷圭介・鈴木大介/講談社
公式サイト:gangoose-movie.jp 
公式Twitter:@MovieGangoose

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