高橋一生の“秘密”が徐々に明らかに 視聴者に解釈を委ねる『僕らは奇跡でできている』の魅力

視聴者に解釈を委ねる『僕キセ』の魅力

 一輝は、育実の特技を100個挙げられると発言する。すると、育実は、一輝の挙げている内容は「誰でもできること」だと言うのだ。しかし一輝は「誰でもできることができたらすごくないのか」と返し、育実の日々の積み重ねを褒める。現代のように何かに追われながら生きることの多い社会で、当たり前のことを誰かから認めてもらうことが、どれほど嬉しいものなのか。

 第7話を観た視聴者は、自分のことでなくても褒められている育実を見て、少し元気を取り戻した人も多かったのではないだろうか。このシーンを「ドラマだから」で終わらせないでほしい。視聴者の全員が、今自分の直面している全てのことに、努力している自分を褒めてあげてほしいと感じた。そうすることが、この作品が一番報われる形であり、一番魅力を発揮する瞬間だろう。実は一輝の言葉は、難しいテクニックのいらないアドバイスばかりだ。その日の夜から、自分1人の考え方を変えるだけで、昨日より生きることが楽しくなる。この作品はそんな気持ちにさせてくれるのだ。多くの視聴者が一輝の言葉に救われて笑顔になれたらいいと感じる。

 そんな、生きる楽しみを与えてくれる『僕らは奇跡でできている』。次回は一輝の出生の秘密が明らかになる。第7話の最後は、一輝は住み込みの家政婦である妙子(戸田恵子)の実子ではないかという衝撃の一言が飛び出す。次回の展開に注目したい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『僕らは奇跡でできている』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:高橋一生、榮倉奈々、要潤、児嶋一哉、西畑大吾(関西ジャニーズJr.)、矢作穂香、北香那、広田亮平、田中泯、トリンドル玲奈、阿南健治、戸田恵子、小林薫
脚本:橋部敦子
音楽:兼松衆、田渕夏海、中村巴奈重、櫻井美希
演出:河野圭太(共同テレビ)、星野和成(メディアミックス・ジャパン)、坂本栄隆
プロデューサー:豊福陽子(カンテレ) 、千葉行利(ケイファクトリー)、宮川晶(ケイファクトリー)
主題歌:SUPER BEAVER「予感」([NOiD] / murffin discs)
オープニング曲:Shiggy Jr.「ピュアなソルジャー」(ビクターエンタテインメント)
制作協力:ケイファクトリー
制作著作:カンテレ
(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/bokura/index.html

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