瀬戸康史、中尾明慶、毎熊克哉……『まんぷく』長谷川博己を支える“塩軍団”俳優に注目

『まんぷく』“塩軍団”俳優に注目


 塩軍団いちの喧嘩っ早さを誇る、岡幸助を演じているのは中尾明慶。子役出身者なだけあって、まだ30歳にして長いキャリアを持ち、軍団の中で最も知名度が高い俳優ではないだろうか。鍛え上げられた肉体や、年齢や経験の積み重ねによって獲得した“渋み”を本作では放っている。この岡とは粗野な男だが、“憂さ晴らし”を口実にしてはいたものの、飲み屋で絡まれている女性を助けたり、萬平や福子に対して義理堅い一面もある。今後頼りになるのではないかと密かに期待できる存在だ。ちなみに今クールの中尾は、『プリティが多すぎる』(日本テレビ系)にも出演中。口数の少ない岡とは正反対とも言える人物を、実に軽快に演じている。

森本

 そんな中尾が演じる岡との衝突も印象的だったのが、毎熊克哉が演じる森本元。個性的な塩軍団メンバーの“わちゃわちゃ感”の中で、誰よりも“陰”を感じる存在だ。たまに口にする言葉の端々からは、戦争体験の悲愴さがうかがえる。そんな、森本の背景まで感じさせる俳優の毎熊。ここ数年、急激に活動の幅を広げている存在で、現在は映画『純平、考え直せ』や『止められるか、俺たちを』が全国展開中であり、『真っ赤な星』や『新宿パンチ』が間もなく公開される。つねにどこかしらの劇場で彼の出演作が上映されているあたり、映画界でのラブコールが絶えぬのだろうし、来年以降も楽しみである。この森本とは、毎熊の硬派な佇まいがそのまま反映された人物だが、ときおり見せるクールな笑顔が印象的。今後の彼の、さらなる変化に期待だろう。

 熱き男たちのにぎやかな掛け合いと、彼らだからこそ生み出すことができる空気感。男くさい集団戦としての魅力もさることながら、物語から垣間見える、一人ひとりの人生ドラマを夢想してみるのも面白いかもしれない。この“塩軍団”がいまの『まんぷく』に大きな活気を与えていることは間違いない。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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