安藤サクラは戦争とどう向き合った? 『まんぷく』が描く“日常”の中で生きること

『まんぷく』が描く“日常”の中で生きること

 そんな萬平の傍らで、福子は必死に励ます。「戦争に行かなくとも、お国の役に立てることはきっとあります。私は萬平さんには生きていてほしい。誰に何と言われようとあなたには生きていてほしいの!」。そして、“自分にできること”を考える萬平に、「大丈夫。私が見つけてあげます」と呟いた。萬平が苦しみ始めたときに、病院に向けて疾走した姿からも見てとれるように、福子は常に萬平のことを思いやってきた。一度、萬平が憲兵に捕まったこともあって、その気持ちはひとしおだったはずだ。

 朝ドラでは時に切実な出来事がこうして描かれる。決して平穏で和やかな生活だけが描かれるわけではない。震災はある日突然起こる。一方、戦争は、ゆっくりとその影を生活に忍ばせ、朝ドラの世界観に揺さぶりをかけていく。ただ、震災も戦争もアプローチは違えども、ヒロインはそんな中で、大切な存在に向き合ったり、自分にできることを考えて、見つめ直したりする。安易な涙を誘うのではなく、丁寧にその過程を描く。こういう点にこそ、『まんぷく』のような朝ドラの魅力があるのかもしれない。

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、橋爪功、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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