のん、『ミライさん』で華麗なる復活! アイデア詰まった“LINE NEWSのドラマ”から目が離せない

のん主演『ミライさん』から目が離せない

 さらにそれだけには留まらず、普段日常的に使っている「LINE」の画面から簡単にアクセスして視聴できるという手軽さであったり、移動中やちょっとした時間に観ることができる1話10分程度の短く、シンプルな1話完結のストーリーも強みのひとつであろう。そして何より、電車や屋外などの騒音が気になる場所でも作品の世界を楽しむことができるようにと、すべてのセリフに字幕が付けられているというのも、実にありがたいアイデアだ。

 もちろんのこと、わずか10分ほどのストーリーであってもドラマに必要なストーリーとしてのおもしろさは失っていない。今よりも少しだけ先の未来を舞台に、のん演じる主人公ミライは、人間が働かなくてもいい未来を実現するためにと断固として働くのを拒み、毎日家でゲームをしているだけのニートだ。そんな彼女と家族のユニークなやりとりが、最先端のテクノロジーを駆使したアイテムとともに紡がれていくのだ。

 第1話では人間と同じように感情を持ったロボット、第2話ではどんなデザインにも変化することができる電子ペーパー。そして9月22日に配信される第3話では、脳で考えることを相手の言語に合わせて翻訳する翻訳機が登場。そういった近い未来に確実に我々の生活の中に取り入れられていくであろうテクノロジーの在り方や正しい使われ方について、決して難しい話にすることなく、より身近な題材を軸にして扱っていくSF性も充分に備えている。

 SF要素とコミカルさのバランスもさることながら、それらを強烈なインパクトで束ねあげるのは、やはり主人公ミライを演じるのんの演技。ジャージ姿の彼女は、表情の豊かさや語気の変化などとにかく自由にスマートフォンの画面の中で羽ばたいてくれる。天才的な演技力を持つと言われ続けてきた彼女の華麗なる復活に、思わず笑みがこぼれてしまうことは間違いない。

 これだけしっかりとした方向性を持つドラマに仕上がっている『ミライさん』が、全5話で終わってしまうというのは少々もったいないところではある。本作のシーズン2を期待するのはもちろんのこと、この新たな「LINE NEWSのドラマ」というメディアが今後どのような進化を見せてくれるのか目が離せなくなりそうだ。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■配信情報
『ミライさん』
9月22日(土)20:00より第3話配信
毎週土曜日20:00更新・全5話
出演:のん、本郷奏多、堀内敬子、マキタスポーツ
脚本:吹原幸太
プロット協力:ニシオカ・ト・ニール
音楽:梅野悠大
VFX:宮本鉄馬
企画・プロデュース:谷口マサト
(c)LINE株式会社
公式ブログ:http://lin.ee/dDC71Fl/lnnw
公式サイト:http://lin.ee/7qRfu92/lnnw/201809
『ミライさん』LINE公式アカウント:https://lin.ee/2TrHphg/lnnw/201809

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