中村倫也、“マアくん”としてひと回り成長 『半分、青い。』いよいよ最終章へ

中村倫也、“マアくん”としてひと回り成長

 その象徴となったのが、転職に悩む律に2人がかけた言葉の違いだ。律は、花野に動くカニのおもちゃを作ってあげることで、モノづくりの先に誰かの笑顔があるという原点を見つめ返す。菱松電機経営企画部技術課の課長であり、各セクションの開発や研究の予算管理を担当する律は、風の音が聞こえないタワービルのはめ殺しの窓に囲まれていた。幼少の頃から周りから期待され育った律は、大人になった今も抜けがない、隙がない、いつもパーフェクトな存在。しかし、思いを上手く吐き出せないで溜め込む性格があった。

 そんな律に正人は、オープンオフィスフェアへ連れて行き、起業のチャンスがあることをさりげなく提案する。「律はやりたいように生きればいいと思うよ。君はできるよ」「律も自由にしていいんだよ。どっかにたどりつく」「律、焦らないで。迷ってる時間を楽しんで。思ってるほど、人生短くない。迷うことは人生の醍醐味だ」。律も“仙人”とあがめるほどに、正人から飛び出す金言の数々。対しての鈴愛は、「律は菱松におったほうがいい」「律には向いとらん」「看板に守られて生きとる」「精神的にも弱い部分がある」と、まるで正人と逆の考えの現状維持を提案する。

 そうして律が放つ言葉が「黙れ。人の心の中に土足で踏み込んでくんな」である。過去に、鈴愛に対して酷い振り方をした正人も、怪我をした律を目の前に予約したワインバルの心配をするという、未だ少し抜けたところはあるものの、転職に悩む律への気遣いの部分で、遥かに成長して帰ってきたと言えるだろう。

 第24週「風を知りたい!」のキーになるのは、“扇風機”。ガンになった晴(松雪泰子)の思いに応えるため、鈴愛と律は奮闘する。予告に登場しているボクテ(志尊淳)とユーコ(清野菜名)は、正人らとどのように交錯していくのか。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一、上村海成/佐藤健、原田知世、谷原章介/矢本悠馬、奈緒/清野菜名、志尊淳
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

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