劇場版も癒し効果バツグン! 「明日からまたがんばろう」と思える『のんのんびより』の魅力

『のんのんびより』の魅力

 劇場版の冒頭でも、そんな田舎の風景が丁寧に描き出されていく。一面の山の緑に日本家屋、蝉の声と風鈴の音。幼い頃、おばあちゃんの家に行った時のような懐かしさで胸がいっぱいになると同時に、3年ぶりに『のんのんびより』の物語が展開されていくさまを目の当たりにするのも、とても感慨深かった。


 映画では、れんげたちの住む田舎から飛び出した沖縄・竹富島がメインの舞台となる。この「沖縄編」は原作コミックスでも描かれたエピソードだが、劇場版ならではオリジナルキャラクターも登場するなど、新たな演出も加えられているのが見どころだ。

 また、これまでのアニメシリーズでは場所が特定できるような演出は避けられていたが、本作では初めて「沖縄」という具体的な土地名が語られている。竹富島には、れんげたちが暮らす田舎の世界観にも合うような、昔ながらの風景が残っている。その風景が丁寧なロケハンによって描き出され、劇中に登場する民宿を含め、建物なども現地の状況がリアルに描かれているという。

 旅先とはいえ、これまでのシリーズ同様、特に大きな事件も起こらず、れんげたちはのんびりと島を観光してまわる。そのため、テレビ版を見て「田舎に行きたいな」と思っていたように、劇場版では「沖縄に行きたいな」と思わせられるような、旅番組的な一面も感じられた。しかし、やはりスローライフな雰囲気はテレビ版から受け継がれており、癒し効果バツグンだ。

 凝り固まった筋肉がゆるゆると弛緩していくかのようなヒーリング効果で、劇場スクリーンからマイナスイオンが出ているんじゃないかと思えるほどの70分間。筆者のそばにいた男性が、上映後に「これで先10年はがんばれる」と言っていたが、思わず「うんうん!」と頷きたくなってしまった。おつかれ気味の人は、ぜひ本作を観て存分に癒されてほしい。鑑賞後はきっと、「明日からまたがんばろう」と思えるはずだ。

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■まにょ
ライター(元ミュージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。Twitter

■公開情報
『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』
全国公開中
声の出演:宮内れんげ、一条蛍、越谷夏海、越谷小鞠、越谷卓、宮内一穂、加賀山楓、宮内ひかげ、富士宮このみ、新里あおい
監督:川面真也
脚本:吉田玲子
原作:あっと
アニメーション制作:SILVER LINK.
製作:旭丘分校管理組合劇場
配給:角川ANIMATION
(c)2018 あっと・KADOKAWA刊/旭丘分校管理組合劇場
公式サイト:http://nonnontv.com/movie/

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