『オーシャンズ8』初登場5位 「00年代以降の洋画」を象徴する『オーシャンズ』シリーズ

『オーシャンズ』シリーズにみる洋画の変遷

 『オーシャンズ』シリーズのこれまでの興行を振り返ると、2000年代以降の日本において外国映画の置かれてきた状況の変遷が見えてくる。2002年に日本公開された第1作『オーシャンズ11』は興収70億円で年間6位(ちなみに2002年はその上の5作品もすべて外国映画だった)。その3年後の2005年に日本公開された続編『オーシャンズ12』は興収36億円で年間13位。その2年後の2007年に日本公開された3作目『オーシャンズ13』は興収32億円で年間17位。3作目までメインキャストの面々(ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンほか)と監督(スティーヴン・ソダーバーグ)に変更がなかったことをふまえると、地上波テレビ局製作の作品を中心に日本映画のマーケットが成長してきたその7年間で、いかに「普通の娯楽映画」としての外国映画のマーケットが狭くなってきたかがわかるだろう。先週の本コラムで取り上げたように、そんな時代の変化の渦中にあっても、日本のマーケットでビクともしてこなかった『ミッション:インポッシブル』という異常なシリーズもあるにはあるが。

 キャストも監督も一新して生まれ変わった今回の『オーシャンズ8』。前作から11年というブランクを考えれば、これでも十分に健闘していると言える。本国アメリカをはじめ世界各国でも好調で、今作にもスティーヴン・ソダーバーグは製作に名を連ねているので、もしまた続編が製作されるならば、(一応、作中である人物は死んだ設定になっていたものの)前『オーシャンズ』シリーズの面々との夢の共演が実現するかも!?

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『オーシャンズ8』
全国公開中
キャスト:サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ミンディ・カリング、サラ・ポールソン、オークワフィナ、リアーナ、ヘレナ・ボナム=カーター
監督:ゲイリー・ロス
プロデューサー:スティーヴン・ソダーバーグ
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/oceans8/

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